宇都宮市は6月3日、「芳賀・宇都宮LRT」の工事に遅れが生じていることを明らかにした。来年2023年3月に開業の予定だったが、数カ月程度は遅れる模様。開業時期が再び延期される。
同日開かれた市議会議員協議会で宇都宮市が報告した。工事が遅れているのは、栃木県道64号と清原中央通りが交わる「野高谷町交差点」の区間。LRTの軌道が高架橋から県道64号中央のスペースに移る部分で、橋梁が県道64号の南側車線と立体交差する。
宇都宮市によると、野高谷町交差点の区間では2020年12月から道路拡幅工事や地下埋設物移設工事に着手した。野高谷町交差点は自動車交通量が多いことから、交通規制の範囲を当初の計画より縮小。各種工事を同時並行的に進めるのが難しくなり、3カ月程度の遅れが生じた。
続いて2021年10月に着手した橋梁の橋脚工事も、大型建設機械の調達難や作業員不足で、工期の遅れを取り戻すことができなかった。現在は橋桁の架設工事に入っており、その後は順次、レール敷設や架線柱の設置などが行われるが、これまでの遅れを取り戻すのは難しく、工事の完了は年明けになる見通しという。ここ以外の工事は予定通り、今年2022年内に完了する見通し。
現在の遅れを取り戻すことができない場合、開業は2023年6月頃になる。宇都宮市は野高谷町交差点区間の工期短縮を引き続き検討するとともに、全線で最終的な工事スケジュールの精査に取り組む方針。 芳賀町や宇都宮ライトレールの協力を受けながら、工事スケジュールを踏まえた試運転や検査などを行い、国や栃木県などとの協議・調整を進めるとしている。延期による工事費の増額はないとしている。
芳賀・宇都宮LRTは宇都宮駅東口~芳賀・高根沢工業団地間の14.6kmを結ぶ路面電車タイプの軽量軌道交通(LRT)。宇都宮市と芳賀町が軌道などの施設を整備、保有し、第三セクターの宇都宮ライトレールが運行する。
2018年に着工し、当初は今年2022年3月の開業を予定していた。地盤補強工事が新たに必要になったことや、停留場で新たなバリアフリー対策が必要になったこと、地権者との交渉がコロナ禍で遅れたことなどから、宇都宮市は2021年1月、開業時期を1年延期して2023年3月とすることを発表。着工時に458億円とされた総事業費も1.5倍の684億円に膨らむとした。
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