宇都宮ライトレールの開業「1年延期」2023年3月に 総事業費「1.5倍」に膨張



栃木県の宇都宮市と芳賀町は1月25日までに、両市町が整備を進める路面電車タイプの軽量軌道交通(LRT)「芳賀・宇都宮LRT」(宇都宮ライトレール線)について、総事業費が約1.5倍の684億円に膨らむことを発表した。開業予定時期も2023年3月に変更され、1年の延期になる。

工事が進む宇都宮ライトレールの停留場。【撮影:草町義和】

宇都宮ライトレール線は、JR宇都宮駅東口停留場(仮称)から東に進み、芳賀町内の本田技研北門停留場(仮称)の14.6kmを結ぶLRT。宇都宮市と芳賀町が軌道を整備し、第三セクターの宇都宮ライトレールが両市町から施設を借りて電車を運転する。着工時点の総事業費は458億円とされ、2022年3月の開業を目指していた。

宇都宮市が1月25日に発表したところによると、同市の負担分は412億円とされていたが、191億円多い603億円に。鬼怒川橋りょうの周辺や野高谷高架橋、車両基地などで地盤改良が必要になり、これに47億円かかる。買収面積や補償物件の増加(31億円)や、地下埋設物の移設の増加(35億円)、豪雨対策の強化による車両基地の盛土や擁壁の追加(9億円)なども加わる。資材価格の高騰も影響した。

鬼怒川の東岸に姿を現した宇都宮ライトレールの高架橋。【撮影:草町義和】

芳賀町も1月22日に事業費の増加を発表。同町分の負担は46億円から81億円に膨らむ。LRTの軌道敷設に伴う道路の拡幅工事で、地盤改良や水道管の移設が必要になり、その費用が増えるという。

用地買収も遅れており、この影響で開業時期が延期されることになった。宇都宮市の場合、昨年2020年末の時点で事業に必要な土地のうち未契約の土地の面積は全体の5%に及ぶ。芳賀町でも新型コロナウイルスの影響で契約手続きが遅れており、7人の地権者との契約が完了していないという。

電車を運転する宇都宮ライトレールも、開業の延期により開業前の経費が5億円増加。両市町が増加分を負担する。