北陸鉄道浅野川線で「京王井の頭線」運転 引退近い初期型8000系で京王時代を再現



北陸鉄道は6月20日、浅野川線で「京王電鉄井の頭線カラー」の車両を7月9日から運行すると発表した。かつて京王井の頭線を走っていた8000系で京王時代の塗装を再現する。

引退が近い8000系の第8802編成。【撮影:草町義和】

「井の頭線カラー」になるのは8000系のうち第8802編成(8802+8812号)。京王時代のアイボリーホワイト色を復刻、再現する。7月9日に復刻塗装の披露と撮影会を組み合わせたツアーを実施。ツアー終了後に運行を開始する。

京王井の頭線の3000系(アイボリーホワイト色)。【画像:北陸鉄道】

北陸鉄道の8000系はもと京王井の頭線の3000系。1962年から1987年にかけ29編成が導入された。車体はステンレス製で無塗装だが、先頭部の上半分は強化プラスチック(FRP)を採用。複数の編成ごとに異なる7種類の色で装飾し、独特な外観が特徴だった。2011年までに引退したが、一部の車両が地方私鉄に譲渡。北陸鉄道の浅野川線では形式を8000系に変更し、2両編成5本に改造して導入された。

このうち第8801編成と「井の頭線カラー」を再現する第8802編成は、京王3000系のなかでも最初期の1962~1963年に製造された初期型。車体側面は平面で後期形と異なり裾絞りがなく、ドアも後期形が両開きなのに対し、初期型は片開きを採用している。京王3000系を譲り受けた地方私鉄のうち、初期型が運用されているのは北陸鉄道浅野川線だけだ。

第8802編成(右)は車体下部の裾絞りがない初期型。裾絞りがある後期型の第8902編成(左)とは外観が異なる。【撮影:草町義和】
第8802編成のドアは片開きを採用している。【撮影:草町義和】

8000系は老朽化のため03系(もと東京メトロ03系)への更新が進んでいる。2020年に第8903編成が引退し、昨年2021年には第8901編成も引退。「井の頭線カラー」になる第8802編成もまもなく引退する予定だ。

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