JR東海は6月16日、東海道新幹線の新型車両「N700S」に搭載している装置を改良して架線電圧の低下を抑える技術を開発したと発表した。電気使用量や二酸化炭素(CO2)排出量の削減を目指す。
JR東海が開発したのは主変換装置のソフトウェアの改良技術。列車の本数が増えると架線の電流の位相が遅れて電圧が低下するが、ソフトウェアの改良で電流の位相の遅れを小さくして電圧の低下を抑える。JR東海によると、この改良で年間約2000万kWhの電気使用量を低減でき、約3億円の電気料金の節約と約1万tに相当するCO2排出量の削減を実現できるという。
架線電圧の維持は従来、変電所の増設や電力補償装置の導入など地上側設備の増強で行われてきた。東海道新幹線の沿線には電力補償装置が21台設置されている。車両側に架線電圧維持機能を持たせることで変電所や電力補償装置を削減することが可能になる。
JR東海によると、車両側で架線電圧を維持する仕組みは世界初の技術。東海道新幹線の全編成に架線電圧維持機能を導入した場合、約1割の変電所と約半数の電力補償装置を削減できるという。
JR東海は今後、N700Sの一部の営業車両に架線電圧維持機能を順次搭載。2023年2月まで機能確認試験を行う。試験結果の確認後、ほかのN700Sにもこの機能の搭載を拡大していくとしている。
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