山手線「自動運転」実証運転、10月頃から営業列車で実施 省エネ運転も研究



JR東日本は5月10日、山手線の営業列車で自動運転を目指した実証運転を行うと発表した。2028年頃までに自動列車運転装置(ATO)を導入することを目指す。

山手線の列車。【撮影:草町義和】

実証運転は10月頃から2カ月ほど実施する計画。E235系を2編成使用し、客が乗っている通常の営業列車で加速・惰行・減速など自動運転に必要な運転機能や乗り心地、省エネ性能などを確認し、知見の蓄積を行う。

その後は2023年春頃からATOに対応した車両改造などの準備を行い、2028年頃までにATOの導入を目指す。将来的にはさらに開発を進め、運転士が乗らない「ドライバーレス運転」の実現も目指すという。

JR東日本は2018年度から自動運転の導入に向け、山手線で終電後の時間帯に試験を実施。今年2022年2月には営業時間帯に試験を行い、前後に列車が走行している環境で自動運転に必要な運転機能や乗り心地などの確認を行った。

JR東日本はATOによる省エネ運転の研究にも取り組んでいる。同社が掲げる省エネ運転は、駅間の所要時間を変えずに最高速度を抑え、運転エネルギーを削減した運転のこと。惰行の時間を長く取り、加速と減速の時間を短くすることを目指す。

山手線一周の従来の運転と省エネ運転の比較。【画像:JR東日本】

山手線では2020年度から乗務員の操縦による省エネ運転の研究に取り組んでおり、自動運転を目指した開発でも、その知見を活用している。JR東日本によると、2月に実施した自動運転の試験では約12%の運転エネルギー削減効果があることが分かったという。今回の実証実験でも実際の営業列車でのデータを蓄積し、より詳細な分析を行うことで定時性・乗り心地と省エネを両立するATOの開発に役立てるとしている。

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