豊肥本線・熊本~肥後大津「輸送力増強」熊本県など協議会設立、JR九州に提案へ



熊本県の木村敬知事は7月2日、同県とJR豊肥本線・熊本~肥後大津の沿線市町で構成される「JR豊肥本線輸送力強化促進協議会」を設立すると発表した。自治体間の認識を共有したうえで方向性を取りまとめ、JR九州に対し提案を行う。

豊肥本線の新水前寺駅。単線のうえ単式ホーム1面1線のため上下列車の行き違いもできない。【撮影:草町義和】

熊本県は協議会の目的について「熊本都市圏における鉄道を軸とした新たな都市づくりを目指し、JR豊肥本線の輸送力強化を実現させる」「公共交通への利用転換による交通渋滞の解消を目指す」「自治体間の認識共有のうえ、JR九州へ提案する」としている。

協議会には熊本県のほか熊本市と大津町、菊陽町が参加。7月18日に1回目の会合を開く。豊肥本線の現状や課題、各市町の取り組みなどについて意見交換を行うとともに、輸送力強化に向けた取り組みの方向性や必要な施策などについて協議する。

輸送力強化の具体策について、木村知事は7月2日の記者会見で「増便・増結もさることながら複線化も視野に置くが、大変時間とお金を要すること」としたうえで、「それ(複線化)以外の、たとえば各駅で列車が同時進入できるようにするとか行き違いできるようにするとか、そうしたなかでの一部複線化も協議の対象になると思う」と述べた。

協議会の今後のスケジュールについては「2年も3年も議論するというよりは、まず今年度(2025年度)内に何か要望できればいいと思っている」と話した。

豊肥本線は熊本~大分の184.0kmを結ぶ鉄道路線。九州中部を横断する都市間鉄道で大半は非電化単線だが、熊本寄りの熊本~肥後大津22.6kmは1999年に電化。熊本都市圏の通勤輸送を担っている。

列車の行き違いに対応した島式ホーム1面2線の三里木駅。【撮影:草町義和】

輸送密度は熊本~大分の全区間でJR九州発足時の1987年度が2963人だったのに対し、2023年度は約200人多い3172人。熊本~肥後大津に限ると1987年度の4902人に対して2023年度は約2.6倍の1万2889人に膨れあがっている。

肥後大津→熊本の混雑率は2023年度で121%。コロナ禍の影響で大都市圏の混雑率が低下していることもあり、東京圏の常磐緩行線(120%)や山手線(外回り、125%)とほぼ同じレベルになっている。

熊本県によると、沿線の半導体関連企業の集積で利用者のさらなる増加が見込まれており、「混雑緩和や利便性向上のための輸送力の強化が喫緊の課題」(木村知事)。また、肥後大津駅で分岐する熊本空港アクセス鉄道(仮称)との連携を見据えた将来の沿線の姿や輸送力強化のビジョンを描く必要があるという。

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