横浜市交通局は3月30日、横浜市営地下鉄ブルーラインの上永谷車両基地で新型車両「4000形」を報道関係者に公開した。現在のブルーラインで最も古い3000A形の更新用。5月2日から営業運行を始める。
公開されたのは4000形で最初に完成した第62編成。モーター無し先頭車2両とモーター付き中間車4両の合計6両で構成される。各車の番号は湘南台寄りから4621+4622+4623+4624+4625+4626。
ブルーラインの車両は1992年に3000形(3000A形)がデビューし、その後は3000N形、3000R形、3000S形、3000V形とマイナーチェンジしながら3000形を増備してきた。交通局の担当者によると、4000形は電気関係の仕様や性能は3000V形とほぼ同じだが、車体のデザインや車内の設備を大幅に変えた。当初は3000V形の2次車としてメーカーと契約したが、ブルーラインのイメージ刷新の意味も込め、新形式の4000形に変更したという。ブルーラインで新形式の車両が導入されるのは30年ぶりだ。
3000形のメーカーは東急車両(現在のJ-TREC、1・2次車)と日本車両(3次車以降)だったが、4000形は川崎車両が製造した。交通局の担当者によると、鉄道事業法に基づく車両確認の手続きは3000V形からの構造装置変更確認として2021年9月に申請。同年11月に関東運輸局長から確認を受けたという。
外装デザインのコンセプトは「海辺の先進的な都会感」。「凛とした佇まいとスピード感」を思わせるデザインでまとめた。先頭車は従来のブルーラインの面影を残しつつ、同線の車両の「伝統」と化していた「くの字」形デザインを刷新。全体的に平面や直線のエッジを際立たせた構成になった。さまざまな方向を向いた面が、見る角度とともに先頭形状の表情を変化させ、躍動感を感じさせるデザインにしたという。
ちなみに、現在の第62編成は七色の虹をイメージしたデビュー記念のレインボーラッピングが先頭と側面の上部に施されている。交通局は5月2日のデビュー後しばらくはラッピングしたまま運用するが、情勢を見ながらラッピングを撤去するとしており、おおむね1カ月弱で撤去されるとみられる。
内装の色は床にブルーラインのシンボルカラーである青を採用。壁面はグレー、出入口には注意喚起色として黄色を配置した。「ゆずりあいシート」(優先席に相当)はシート部の床を赤、壁を白にすることで分かりやすくする。
座席はバケットシートを引き続き採用。一人当たりの座席幅を従来より10mm広い480mmとするほか、座面の材質を見直すことで座り心地を向上させた。シート端部の袖仕切りを大型化し、着席客と立客のどちらも快適に過ごせるようにした。袖仕切りの透明板は黒っぽくしているのが特徴だ。
このほか、車内防犯カメラを1両につき3台設置。車両間の貫通ドアはガラス製とし、衝突防止対策として横浜をイメージしたパターンイラストで装飾した。
バリアフリー対策は従来のドア開閉予告灯や車椅子固定具などに加え、車椅子・ベビーカーエリアに2段手すりや床面表示を新たに設けた。
4000形は48両(6両編成8本)が導入される計画で、5月2日から運行される予定。これに先立つ5月1日には試乗・見学ツアーが行われる計画だ。2022年度中に6両編成5本、2023年度中には6両編成3本が順次投入される。交通局は4000形の導入により、ブルーラインの車両で最も古い3000A形を置き換える方針だ。
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