JRグループ「2022年3月12日」ダイヤ改正 「臨時列車化」「減便」目立つ



JRグループは12月17日、来年2022年3月12日にダイヤ改正を実施すると発表した。新型コロナウイルスによる移動需要の減少を受け、ほぼ減便一色の内容だ。

所要時間短縮や滞在可能時間拡大も

東海道新幹線では早朝・夜間の「のぞみ」上下計30本を速達化。これにより定期「のぞみ」の東京~新大阪間の平均所要時間が1分短縮され2時間28分になる。東海道・山陽新幹線を直通する「のぞみ」の一部も所要時間を短縮するなどして、山陽新幹線方面から首都圏方面に旅行する場合の首都圏での滞在可能時間を拡大する。

早朝・夜間に所要時間の短縮が図られる東海道新幹線「のぞみ」。【画像:クリストファー/写真AC】

広島エリアの場合、下り最終の東京発を現行より9分繰り下げて20時00分に。福岡・山口エリアは上り始発の東京着を18分繰り上げて11時前の10時57分に到着できるようにする。姫路エリアは上り始発の東京着を3分繰り上げて9時前の8時57分に到着できるようにする。

定期列車の減便も行われる。山陽・九州新幹線直通「みずほ」「さくら」と北陸新幹線「かがやき」、東北・秋田新幹線「はやぶさ」「やまびこ」「なすの」「こまち」、上越新幹線「とき」「たにがわ」は、一部の列車を臨時列車化。このうちJR東日本は計42本の定期列車を臨時列車に変更する。

JR九州は臨時列車化する「さくら」について「現時点では毎日運転を行う予定」としつつ「ご利用状況により運転を取りやめる場合があります」としている。これ以外の臨時列車化される新幹線列車についても、JRグループは「ご利用状況に合わせて運転します」としている。

通勤時間帯の着席サービス充実

在来線特急も利用者の少ない列車の減便や臨時列車化が行われるが、一方で通勤時間帯の特急サービスの強化なども図られる。

JR北海道は道東方面「おおぞら」の車両をすべてキハ261系に統一。道南方面「北斗」は北海道新幹線との接続の改善を図る。JR東日本は中央線「かいじ」や高崎線「スワローあかぎ」、内房線・京葉線「さざなみ」を朝の通勤時間帯に運転し、特急列車による通勤着席サービスの充実を図る。

JR東海の在来線特急は、列車名に「ワイドビュー」という愛称を冠して「ワイドビューしなの」などとしていたが、ダイヤ改正にあわせて「ワイドビュー」の愛称を廃し、それぞれ「しなの」「ひだ」「南紀」「ふじかわ」「伊那路」とする。

特急「ワイドビューひだ」は「ひだ」に改称される。【撮影:草町義和】

JR西日本は阪和線の特急列車を朝の通勤時間帯に約25分間隔で運転。北陸方面「サンダーバード」「しらさぎ」と紀南方面「くろしお」、北近畿方面「こうのとり」「きのさき」「はしだて」、陰陽連絡「やくも」「スーパーはくと」の一部は、利用状況に合わせて週末を中心に運転本数を増やす。JR九州は朝夕通勤時間帯の一部の特急列車が鹿児島本線の福間駅に停車する。

普通列車は車両の更新進む

普通列車は減便以外では車両の置き換えが目立つ。JR北海道はH100形を引き続き投入。根室本線の新得~釧路間と石北本線の旭川~上川間に計30両を投入する。これにより根室本線・新得~釧路間の普通列車54本はすべてH100ヶ谷。石北本線・旭川~上川間の普通列車も24本のうち19本がH100形に代わる。

JR東日本は、相模線ですべての列車をE131系500番台に統一して205系500番台の運用を終了。宇都宮線の小山~黒磯間と日光線もE131系600番台の運転を開始し、205系600番台(観光車両「いろは」含む)の運用が終了する。

E131系500番台に統一される相模線。【撮影:草町義和】

JR東海は、中央本線・名古屋~中津川間の快速・普通列車を終日8両編成に統一。このうち一部の列車は新型車両の315系を導入する。この区間は快速・普通列車は2023年度中にすべて315系に統一される予定だ。JR西日本は、おおさか東線のすべての列車が221系に統一され201系の運用が終了。広島エリアで運用されている227系は運転区間が新山口駅まで拡大する。

貨物列車は東京貨物ターミナル~大阪貨物ターミナル間の輸送力を増強。E&S(着発線荷役)方式を導入した南福井駅の停車列車を増やす。

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