JR北海道は9月15日、来年2022年春に実施するダイヤ改正について、現在検討しているおもな施策の概要を発表した。同社は発表では「ダイヤ改正」という言葉を使わず「来春のダイヤ見直し」としている。
ダイヤ改正による利便性・サービス向上策としては、車両の増備や所要時間の短縮、新駅の開業などを掲げた。車両はキハ261系特急型気動車22両とH100形電気式気動車30両を追加投入。振子式のキハ283系特急型気動車が引退し、キハ40系気動車(キハ40形)の置き換えも進める。
札幌~釧路間の特急「おおぞら」は、キハ283系で運転されている残り6本がすべてキハ261系に置き換えられる。キハ261系には携帯電話充電コーナーを設置し、車椅子スペースも拡大するなど車内設備が向上するという。
H100形の追加投入により、各線の普通列車で運用されているキハ40系気動車(キハ40形)の置き換えも進める。根室本線・新得~帯広~釧路間では54本の列車がすべてH100形に。石北本線・旭川~上川間では24本中19本を追加で置き換える。
H100形への置き換えで性能が向上することから、所要時間の短縮も検討。根室本線の新得~帯広間では最大20分程度の短縮を検討し、ほかの区間でも最大10分程度の短縮を検討するという。
札沼線(学園都市線)では、あいの里公園~石狩太美間に新駅「ロイズタウン駅」が開業。同駅を通る全84本のうち「ダイヤ制約のある中で最大限」(JR北海道)の約9割の停車を計画している。
宗谷本線の風連~名寄間にある東風連駅は名寄高校近くの名寄寄り1.6kmに移転し、駅名も「名寄高校駅」に変わる。名寄市からの要望を受け普通・快速あわせて24本すべての列車が停車する計画だ。
北海道新幹線・函館本線の新函館北斗駅では北海道新幹線と特急「北斗」の接続を改善。「北斗」のダイヤ見直しにより上下あわせて10本程度、最大20分程度の接続時間の短縮を図る。
函館本線などで計7駅を廃止へ
一方で列車の減便や駅の廃止など固定費削減の施策も行われる。特急「おおぞら」は通常5両編成(自由席2両)だが、利用者が減少する閑散期には1両減らし、自由席を1両に減らす。札幌~旭川間の特急列車では、前後30分の列車で代替可能な「ライラック」2本を臨時列車化し、ゴールデンウィークやお盆、年末年始などに限り運転する。土曜・休日のみ運転の臨時「カムイ」4本も利用状況にあわせて運転日の縮小を検討する。
札幌圏では通勤通学利用が減少する土曜・休日に普通列車10本程度を運休。札幌圏以外の普通列車も計20本程度の見直しを行い、函館本線の岩見沢~旭川間や日高本線、根室本線の新得~池田間などで車両の減車を実施。函館本線の函館~森間では減車と土曜・休日運休を行う。
このほか、利用状況を踏まえて根室本線(花咲線)1駅と宗谷本線1駅、函館本線5駅の計7駅を廃止する方向で関係自治体と協議中という。JR北海道はこれらの固定費削減策で動力費は年間約7000万円を節減効果があり、駅の廃止でも年間約1000万円の節減効果があるとしている。
JR北海道は「アフターコロナも見据えて、需要の変化に柔軟に対応できる輸送体系を目指し、固定費削減をはかってまいります」としている。
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