水島臨海鉄道の国鉄気動車「キハ205」動態保存CF開始 キハ37・38も昔の塗装に



キハ205動態保存のための寄付金を募集しているCFサイト「READYFOR」の画面。

水島臨海鉄道(岡山県)はキハ20形気動車キハ205の動態保存に向けた修繕費用などを調達するため、クラウドファンディング(CF)による寄付金の募集を始めた。第一目標金額は1300万円。

募集期間は8月16日から10月14日まで。一口の金額はリターンなし(お礼メールのみ)が3000円・5000円・1万円・3万円。リターン付きは5000円・1万円・3万円・5万円・10万円・30万円・50万円・1300万円のコースがある。

リターン付きの場合、5000円は水島臨海鉄道オリジナルのマスクケースなど。1万円は「さよならキハ205記念硬券セット」などのコースなどがある。5万円は1日フリー切符3枚と気動車の体験運転優先券が付くコースなど。目標金額と同額の1300万円コースでは、永久無料切符が送られるという。

寄付金の募集はCFサイト「READYFOR」で受け付けている。8月16日19時18分時点では、目標額の14%にあたる192万2000円に達している。

第一目標金額に到達した場合、水島臨海鉄道は来年2022年5月31日までにキハ205の塗装・整備とキハ37形・キハ38形の塗装を完了することを目指す。「キハ205でお客様を乗せて運転し、キハ37を新首都圏色赤11号に、キハ38を八高線色に塗り直し、秋冬限定のキハ30と連結して、旧国鉄時代の編成をよみがえらせる」「キハ205を、車両が動かせる限り、お客様による体験運転に使用します」としている。

水島臨海鉄道のキハ20形は1957年から1966年にかけ製造され、全国各地の国鉄地方路線を中心に導入されたキハ20系気動車のうち、エンジンを1台搭載して車体の両側に運転台を設けたもの。1986年から1991年にかけ12両を国鉄・JR西日本・JR四国から譲り受けた。老朽化のため順次数を減らし、2017年3月までに引退している。このほか、同じ国鉄気動車のキハ30・37・38形も譲り受けており、これらはいまも現役で運用されている。

キハ20系気動車のキハ52形。エンジンを2台を搭載していて車体もキハ20形より長いが、外観はキハ20形と似ており運転台も車体の両端に設けられている。【撮影:草町義和】
キハ20系のうち北海道・東北を中心に導入されたキハ22形はデッキと客室を分け二重窓を採用。側面のデザインがキハ20形とは異なる。【撮影:草町義和】

最後まで運用されたキハ205は引退後も解体されず、年1回程度のイベントで展示。水島臨海鉄道によると、イベント参加者からキハ205の復活を希望する声が上がっていたことなどを受け、復活に向けた検討を始めた。

水島臨海鉄道はコロナ禍で利用者が減少し、2021年5月末時点ではコロナ禍前の2019年に比べ約6割の利用にとどまっている。同社は「本来であれば、自社で(復活のための)費用を捻出しなければならない」としつつ、「収束する気配のないコロナ禍において、お客様に安心・安全にご乗車いただくため、他の車両の検査費用、線路・軌道の点検補修を削減することはできません」とし、クラウドファンディングによる復活費用の調達を決めたという。

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