鉄道車両メーカー「川崎車両」半世紀ぶり復活 川崎重工が車両事業を分社化



戦前の川崎車両兵庫工場で製造された国鉄キハ43000形気動車(1937年撮影)。【画像:西尾克三郎】

川崎重工業は3月31日、同社完全子会社の「川崎車両」に鉄道車両の製造事業を吸収分割により承継させると発表した。

川崎車両は分社化の準備会社として3月10日に設立。3月31日に川崎重工の取締役会で川崎車両への承継が決議され、分割契約を締結した。10月1日に分割の効力が発生し、鉄道車両の製造事業が分社化される予定だ。川崎車両の本社は川崎重工の兵庫工場(神戸市兵庫区)に設置。資本金は96億5000万円とし、川崎重工が株式を100%保有する。

鉄道車両製造事業の分社化は昨年2020年、川崎重工が定めた同社グループの中長期的な事業方針「グループビジョン2030」に盛り込まれた。車両事業の自主再建の目途が付きつつあるなか、分社化により資本の独立性を高めることで自律的な事業経営を徹底していくとしている。

川崎重工の鉄道車両製造事業は、同社が川崎造船所を名乗っていた頃の1906年に開始。現在の兵庫工場で鉄道車両の製造が始まった。1928年に兵庫工場が分離して川崎車両(商号上の字は「川崎車輛」)が発足したが、戦後の1969年に川崎重工が川崎車両を合併した。今回の分社化で「川崎車両」の名称が半世紀ぶりに復活する。

川崎重工はこのほか、二輪車事業なども分社化する予定。完全子会社の「カワサキモータース」に承継させる。

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