京王線の高架化やホームドア・防犯カメラ設置など推進 京王電鉄2020年度設備投資計画



京王電鉄は11月2日、本年度2020年度の鉄道事業設備投資計画の概要を発表した。京王線の高架化工事やホームドアの設置などを引き続き進める。

京王電鉄の5000系電車。【撮影:草町義和】

安全性向上策は、線路の高架化やホームドアの整備、防犯カメラの設置など。京王線・笹塚~仙川間の約7.2kmを高架化する連続立体交差事業(連立事業)を引き続き推進し、本年度2020年度は用地買収や土留杭の設置、高架橋の基礎杭の構築などを進める。この工事が完了すると25カ所の踏切が解消され、安全性の向上のほか交通渋滞の解消、鉄道によって分断されている地域の一体化が図られるという。

事業区間の縦断面図(上)と横断面図(下左)、工事の状況(下中右)。【画像:京王電鉄】

ホームドアは今年2020年5月、飛田給駅ですべてのホームへの設置が完了した。下北沢駅ではホームの補強工事を進める。また、ホームと車両の隙間を縮小するため、くし状のゴムを新宿・調布・飛田給の各駅に設置した。京王稲田堤駅の1番線ホームにも設置する。ホームの縁が見やすいよう、注意喚起ラインを計11駅に整備する。

飛田給駅1番線のホームドア。【画像:京王電鉄】

京王電8000系電車の2編成16両と井の頭線1000系電車の2編成10両には、車内防犯カメラを設置。井の頭線の踏切はすべての踏切への監視カメラの設置が完了した。踏切障害検知装置の整備も引き続き進める。

車内防犯カメラと踏切監視カメラ。【画像:京王電鉄】

サービス向上策は、駅や車両のリニューアルを実施。新宿駅ではトイレのバリアフリー化や段差解消用のエレベーターの設置が行われた。仙川駅でも駅に併設されている店舗に直通する出口専用改札口の新設や、下りホームと改札階を結ぶエレベーターの大型化などが行われた。

車両のリニューアルは、車椅子・ベビーカースペースの全車両への拡大や、英語に対応した車内自動放送装置の導入が進められる。また、車内ドア上に液晶ディスプレイを2画面設置し、運行案内やニュース、天気予報などのコンテンツを放映する。

環境対策としては、電車の制御装置の更新を実施する。京王電鉄では2012年、すべての電車の制御装置が電気を効率的に利用できるVVVFインバーター方式に更新されたが、さらに省エネ性能の高い新型VVVFへの更新を行う。2020年度は京王線8000系の3編成26両と井の頭線1000系の2編成10浪で制御装置の更新を行う。

このほか、駅構内や車両のヘッドライトのLED化なども推進。回生ブレーキによって生じた電力を駅の照明や空調などで利用できるようにする駅舎補助電源装置を、若葉台車両基地に設置したほか、めじろ台への導入を進める。

駅舎補助電源装置の仕組み。【画像:京王電鉄】

2020年度の鉄道事業設備投資計画の総額は225億円。京王電鉄は新型コロナウイルス感染症の影響で事業環境に変化が生じた場合、計画の見直しを行うことがあるとしている。