ひたちなか海浜鉄道が湊線延伸の事業許可を申請 ひたち海浜公園のアクセス向上図る



ひたちなか海浜鉄道(茨城県ひたちなか市)が湊線の延伸計画について、鉄道事業法に基づく鉄道事業許可を国土交通省の関東運輸局長に申請していたことが、このほど分かった。

ひたちなか海浜鉄道の湊線を走る列車。【撮影:草町義和】

ひたちなか海浜鉄道の吉田千秋社長が鉄道プレスネット編集部の取材で明らかにしたところなどによると、鉄道事業の種別は第1種鉄道事業。区間は湊線の終点・阿字ケ浦駅から国営ひたち海浜公園西口付近までの3.1kmで、阿字ケ浦駅から約600mの地点と海浜公園西口付近に駅を新設する。動力は内燃(非電化)、線路は単線になる。事業費は概算で約78億4000万円。

申請は8月11日付けだが、吉田社長は「従来の鉄道事業許可の申請と異なり、申請後も国や市と相談しながらやっていこうということ」と話し、今後も関係各者と調整を図りながら追加申請を行う可能性を示唆した。どの補助制度を適用するかは現時点では確定していないという。

ひたちなか市が9月9日の市議会で明らかにしたところによると、開業は2024年度を目指していたが、申請が当初の予定より遅れたこともあり、2025年度にずれ込む模様だ。

ひたちなか海浜鉄道の湊線(太黒線)。阿字ケ浦駅からひたち海浜公園の西口まで延伸する計画(赤)がある。【画像:国土地理院地図/加工:鉄道プレスネット編集部】

湊線は、常磐線の勝田駅から阿字ケ浦駅までの14.3kmを結ぶ鉄道路線。かつては茨城交通が運営していた。同社は2005年、経営の悪化や利用者の減少を受け、湊線を廃止する方針を示したが、最終的にひたちなか市と茨城交通が出資する第三セクターに経営移管することになり、2008年にひたちなか海浜鉄道の路線として再スタートを切った。

年間輸送人員は茨城交通時代の2006年度が70万1000人で、1日1km平均の通過人員(旅客輸送密度)は1127人だった。ひたちなか海浜鉄道への移管後、新駅を整備するなど利便性の向上を図ったこともあり、利用者が増加。2017年度は年間輸送人員が100万1000人、旅客輸送密度は1682人となっている。

一方、ひたち海浜公園はイベント開催時に周辺道路が渋滞するという問題を抱えていたことから、湊線を海浜公園に延伸してアクセス向上を図る構想が浮上。ひたちなか市が中心になって検討を進めていた。