西武鉄道は10月25日、新型特急車両001系電車「Laview(ラビュー)」が鉄道友の会のブルーリボン賞を受賞したのを記念し、狭山線の西武球場前駅(埼玉県所沢市)で受賞式を開催した。
この日は池袋発の「ラビュー」特別列車(001系A編成)が10時45分頃、西武球場前駅に到着。11時からセレモニーが始まった。鉄道友の会の須田寛会長から西武鉄道の後藤高志会長に表彰状が贈られ、鉄道友の会の松田清宏副会長が西武鉄道の喜多村樹美男社長に記念の盾を手渡した。
001系のA編成には、受賞記念のオリジナルロゴが貼り付けられ、その除幕式も行われた。ロゴをデザインしたのは、「ラビュー」のデザインを担当した建築家の妹島和世さん。妹島さんは「ブルーリボン賞をいただけたということで、001系の『00』をリボンの形で表現した。このマークが『無限(∞)』というイメージを持てることから、ずっと先までこの車両が大切に扱われて欲しいという思いを込めた」と話した。
このほか、A編成の車内にもブルーリボン賞ロゴプレートが設置され、その除幕式が続けて行われた。
鉄道友の会の加藤幸弘選考委員長によると、鉄道友の会の会員約3000人によるブルーリボン賞の投票では、「ラビュー」が投票数の半分近い47.3%を獲得。2位の車両(21.7%)を大きく上回ったという。
■須田会長「『三つのデザイン』完成の域」
西武鉄道の001系は2019年、10000系電車「ニューレッドアロー(NRA)」以来25年ぶりに導入された新型特急車両。西武池袋線の特急「ちちぶ」「むさし」で運用されている。
砲弾のような独特な球面デザインの先頭部と、半光沢メタリックシルバーのカラーリング、天地方向に広い大型窓を採用しているのが特徴だ。式典では後藤会長が「ラビュー」の開発について、西武鉄道と製造メーカーの日立製作所、妹島さんとのあいだで「かんかんがくがくの議論があった」と話し、デザインがなかなか決まらなかったというエピソードを披露した。
国鉄の旅客局長や常務理事、JR東海の初代社長を務めた須田会長は、「国鉄にいたころ、技術系の先輩から『車両のデザインには外装・内装・床下の三つのデザインがある。外の方の目につく床下も決しておろそかにしてはいけない』と言われた」と話し、「ラビュー」については「内外装はいうまでもないが、(床下)機器も最新の技術で小型化して、補修の面も考えながら配置し、外から見てもいい姿にまとまっている。三つのデザインがほぼ完成形に近いものとして評価された」と述べた。
鉄道車両のブルーリボン賞は、鉄道趣味団体の鉄道友の会が毎年1回、前年中に営業運転に就いた新型車、もしくは新型車と見なせる改造車の中から選んでいる賞。会員の投票結果に基づいて選考委員会が審議し、最優秀と認めた車両を選定している。
西武鉄道の車両がブルーリボン賞を受賞したのは、1969年にデビューした初代「レッドアロー」こと5000系特急型電車以来、50年ぶり。「ラビュー」受賞式の会場となった西武球場前駅では、10000系特急型電車「ニューレッドアロー(NRA)」に初代「レッドアロー」のデザインを施した「レッドアロー・クラシック」(第10105編成)が001系A編成と並んで留置され、50年ぶりの受賞を祝った。