JR西日本は、金沢支社が管轄する北陸エリアの駅の運営体制を見直し、指定席券売機「みどりの券売機プラス」やICカード乗車システム「ICOCA」(イコカ)の導入などを進める。同社は「本格的な人口減少社会の到来で労働力不足やご利用の減少が予想される中、将来にわたり鉄道サービスを持続的に提供するため」としており、駅の無人化や指定席発売窓口(みどりの窓口)の閉鎖が進むとみられる。
JR西日本が8月24日に発表した「2030年度の駅運営体制のイメージ」によると、運営体制の見直しエリア内にあるのは140駅。新幹線と並行在来線が併存する駅(北陸新幹線の敦賀延伸後の併存駅を含む)は重複計上し、あいの風とやま鉄道やえちごトキめき鉄道に業務委託している駅は計上していない。このうち12駅はすでにイコカ対応にシフトしており、54駅も乗務員が対応している。
それ以外の駅のうち、16駅は「主としてみどりの券売機プラスに対応をシフトする駅」に。このうち敦賀・南越・福井(新幹線)・芦原温泉駅(新幹線)・加賀温泉(新幹線)・小松(新幹線)・金沢(新幹線)・新高岡・富山の9駅は窓口併設駅とする。一方、小浜・越前大野・羽咋・七尾・和倉温泉・黒部宇奈月温泉・糸魚川の残り7駅は、窓口を併設しない「機械対応駅」とする。ただし「機械対応駅」の大半は対応社員を配置する予定という。
また、北陸本線の20駅(北陸新幹線敦賀延伸にあわせ経営分離される予定)と七尾線の16駅は「主としてICOCAへ対応をシフトする駅」とし、北陸本線の20駅は駅にイコカのシステムを設置。七尾線の16駅は、車両に搭載したICカードリーダーで対応する。
2023年春の北陸新幹線敦賀延伸にあわせて経営分離される並行在来線の駅(敦賀駅を除く金沢~敦賀間の各駅)については、すでに11駅がイコカに対応。残り20駅も今後、イコカ対応にシフトする計画だ。ただし、武生・鯖江・福井(在来線)・芦原温泉(在来線)・加賀温泉(在来線)・小松(在来線)・松任・金沢(在来線)の各駅は、北陸新幹線の延伸開業までのあいだ、JR西日本がみどりの窓口を運営する。
「みどりの券売機プラス」は今年2020年冬以降、金沢・羽咋・七尾・富山・黒部宇奈月温泉・糸魚川の各駅に設置する。また、老朽化が進む駅施設は、利用実態にあわせた規模の駅舎への建替を推進。駅のトイレの廃止も無人駅を対象に進めていくという。
現在、北陸エリアの140駅のうち約80駅が無人駅だが、運営体制の見直しで新たに約40駅が無人駅になる見通し。みどりの窓口を設けた駅も大幅に減る見込みだ。