長崎県などで構成される「長崎市中心部の交通結節等検討会議」は長崎市中心部の交通結節機能の強化に関する基本計画を取りまとめ、このほど公表した。長崎駅周辺地区の施設の改良や、長崎電気軌道(長崎電軌)が運行する路面電車の松が枝方面への延伸、短絡線の整備などが盛り込まれた。
7月に策定された基本計画によると、長崎駅周辺地区では路線バスの停留所を国道上に集約。大黒町のバスターミナルを再整備する。また、JR長崎駅と路面電車の長崎駅前停留場、バスターミナルを結ぶ高架歩道橋(ペデストリアンデッキ)を整備。デッキには動く歩道を設ける。ペデストリアンデッキの取り付け位置は、今後検討するとした。これにより歩行者の利便性や回遊性の向上、バリアフリー化を図る。
ただし、基本計画では実現に相当の期間がかかるとし、2022年度の九州新幹線長崎ルート(西九州ルート)開業後の段階では、既存の歩道橋にエレベーターを設置して路面電車の停留場のバリアフリー化を実施。バス停の集約も必要最低限に抑えるとした考えを盛り込んだ。
松が枝周辺地区では、2025年度に松が枝埠頭(ふとう)の2バース化が完成の予定で、クルーズ船と公共交通を結ぶ複合交通ターミナルの整備も考えられている。基本計画では、路面電車5号系統の大浦海岸通停留場付近から松が枝地区に延伸する新線の整備を盛り込んだ。
また、長崎駅方面~松が枝地区の直通運行を図るため、短期的には路面電車1・5号系統の合流地点(新地中華街停留場の南西寄り)の三方分岐化を図る。1号系統の出島停留場付近と5号系統メディカルセンター停留場付近を直結する短絡軌道の整備も、将来的な構想として盛り込んだ。
長崎駅は連続立体交差事業により高架化が図られ、3月に従来の場所から約150m西側に移転。路面電車の停留場や路線バスの停留所から遠くなり、乗り継ぎに時間がかかるようになった。国土交通省や長崎県、長崎市、JR九州や長崎電軌などの交通事業者は昨年2019年8月、検討会議を設置。長崎駅周辺を含む長崎市中心部の交通機能結節強化の検討を行っていた。