東京メトロが車両の抗菌作業を公開 インフルなどに効果の薬剤を噴霧、10両で3時間



東京地下鉄(東京メトロ)は7月9日、新型コロナウイルス対策の一環として同社が保有する全車両(2720両)に対し、抗ウイルス・抗菌処理を実施すると発表。あわせて千代田線の綾瀬車両基地(東京都足立区)で、作業の様子を報道陣に公開した。

報道陣に公開された抗ウイルス・抗菌処理作業。【撮影:枝久保達也】

この日公開されたのは、千代田線16000系電車の車内での抗ウイルス・抗菌処理作業。防護マスク、ゴーグル、手袋を着用した係員が噴霧器を使用して手作業で行い、乗客が手を触れる吊り手、手すり、座席、網棚、壁面、ドアなどに抗ウイルス・抗菌処置を施した。

作業は10両編成1本につき3時間程度で完了。施工が完了した車両については、抗ウイルス・抗菌処置済みのステッカーを車内に掲示する。作業は7月2日から開始しており、8月中旬までに全車両で完了する予定だ。

使用する薬剤は、タツミ技研(江戸川区)が開発した銀イオン系抗ウイルス・抗菌剤である「シルフィーミストAG」。人体には無害だが、インフルエンザウイルスを不活化し、大腸菌、黄色ブドウ球菌などを死滅させる効果がある。現時点では新型コロナウイルスへの効果は検証中とのことだが、インフルエンザウイルスに効果があることから、新型コロナウイルスへの効果も期待しているという。

同製品は樹脂と銀イオンを配合することで、通常の抗ウイルス・抗菌剤に比べて長期間の持続性が期待できることが特徴。また効果を保持するため、15日に1度行われる車内清掃の際に、対面活性剤と銀イオンを含む補助剤で清拭するという。東京メトロは抗ウイルス・抗菌効果がどれくらい持続するかについても検証し、必要に応じて再処置を行っていく方針だ。

車内の抗ウイルス・抗菌処置はJR西日本や東急電鉄、近畿日本鉄道(近鉄)、阪急電鉄、阪神電気鉄道(阪神電鉄)などが行っている。ただ、新型コロナウイルスへの効果は完全に確認されていない。公共交通機関を利用した際は、口や目を触らず、必ず手洗いをするなど、引き続き自衛も求められることになるだろう。

抗ウイルス・抗菌処理作業が行われた千代田線の16000系。【撮影:枝久保達也】
抗ウイルス・抗菌処理作業の様子。【撮影:枝久保達也】
抗ウイルス・抗菌処理済みの車両に貼られるステッカー。【撮影:枝久保達也】