【鉄道コネタ】我孫子駅の唐揚げそばを食べるだけの旅 「大回り乗車」で運賃安く

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常磐線・成田線我孫子支線の我孫子駅(千葉県我孫子市)のホームにある立ち食いそば店「弥生軒」といえば、かつて画家の山下清が勤務していたことで知られる。近年は大きな唐揚げを載せた「唐揚げそば」でも有名だ。

「唐揚げそば」で有名な我孫子駅ホームの立ち食いそば店「弥生軒」のイメージ。【作成:鉄道プレスネット編集部】

ただ、なかなか訪ねる機会がない。記者の自宅から一番アクセスしやすいJR駅の西船橋駅(船橋市)から我孫子駅までの運賃は400円。往復なら800円で、これに自宅から西船橋駅までの公共交通機関の運賃を加えると1000円を超えるから、唐揚げそばを食べるためだけに我孫子駅を訪ねる気になれなかったのだ。

そこで常磐線方面に何か用事があるついでに行こうと思っていたが、その用事を作る機会がなかなか訪れないか、用事があってもスケジュール的に立ち寄るのが難しいという状況が長年続いていた。

結局、6月某日に唐揚げそばを食べるためだけに、我孫子駅を訪ねることにした。ただし、JRの「大都市近郊区間」の特例を活用。移動費を大幅に節約することにした。

スタート地点・西船橋駅のイメージ。【作成:鉄道プレスネット編集部】

西船橋駅で府中本町行きの武蔵野線上り普通列車に乗車し、9時36分に発車。車内は座席が7割ほど埋まる程度で、立客はいない。窓に雨粒が多数こびりつくほどの天候だが、今日はそばを食べに行くだけから、天候は気にならない。

西船橋駅に入線する武蔵野線・府中本町行き普通列車のイメージ。【作成:鉄道プレスネット編集部】
府中本町行き普通列車の車内のイメージ。【作成:鉄道プレスネット編集部】

常磐線と立体交差する新松戸駅で下車。武蔵野線ホームの下にある常磐線ホームに移動してしばらくすると、下り我孫子行きの普通列車がやってきた。車両は東京地下鉄(東京メトロ)の16000系。常磐線は東京メトロ千代田線と相互直通運転を行っており、JRの切符で東京メトロの車両にも乗れる。一般の人にとってはどうでもいいことだろうが、マニア的にはちょっとお得な気がしないでもない。

新松戸駅に入線した東京メトロ16000系のイメージ。【作成:鉄道プレスネット編集部】

列車は10時16分、終点の我孫子駅に到着。1・2番線ホームの弥生軒6号店に向かうと、入口の前に山下が弥生軒で働いていたことを示す案内と、山下が描いた駅弁の包装紙の絵が掲出されていた。なかに入って券売機で食券を購入。唐揚げそばは唐揚げが1個だけ載せるものと2個載せるものの2種類あるが、2個を選択した。

出てきた唐揚げそばは唐揚げがやたらでかく、めんつゆが見えないほど。唐揚げの衣が少しつゆを吸ってフニャフニャしており、その食感が心地よかった。

今回の旅で使った「西船橋→船橋」の乗車券と唐揚げそば(2個)のイメージ。【作成:鉄道プレスネット編集部】

これで目的を達したが、折り返して西船橋駅まで戻るというわけにはいかない。大都市近郊区間の特例を活用して運賃を安くするためには、往路とは別のルートを通って西船橋駅に隣接する駅に向かわなければならないのだ。

大都市近郊区間に指定されたエリアでは、エリア内を移動する場合に限り、運賃を最短ルートの距離で算出するという特例がある。たとえば、西船橋→(武蔵野線)→我孫子→(成田我孫子支線)→成田→(成田線)→佐倉→(総武本線)→船橋というように大きくぐるりと回る「大回り乗車」のルートなら、実際に利用する距離は103.0km。本来なら3560円かかるが、運賃は西船橋駅からひと駅先の船橋駅までの最短ルート(2.6km)で計算するため、金額は140円になる。

西船橋→我孫子→船橋の「大回り乗車」ルート。【作成:鉄道プレスネット編集部/国土地理院の地図を加工】

成田行き普通列車に乗り込み、10時51分に我孫子駅を発車。単線のため途中駅で何度となく対向列車とやり過ごす。窓の外は住宅街が広がっていたが、小林駅のあたりから田んぼが広がるようになり、ローカル線に乗っている気分にひたれた。

我孫子駅から我孫子支線経由で成田駅に向かう普通列車のイメージ。【作成:鉄道プレスネット編集部】
田んぼに囲まれた単線の我孫子支線のイメージ。【作成:鉄道プレスネット編集部】

安食駅や下総松崎駅ではレトロな雰囲気の駅舎が見え、ちょっと途中下車してみたい気になるが、それはできない。大都市近郊区間では途中下車が禁じられており、ここで下車すると西船橋駅から安食駅や下総松崎駅までの運賃(800~900円台)を払わなければならないのだ。

レトロな雰囲気を醸す下総松崎駅のイメージ。【作成:鉄道プレスネット編集部】

成田駅で成田線・総武本線の千葉行き上り普通列車に乗り換え。車両は209系電車で、かつて京浜東北線を走っていた車両が千葉エリアの路線に移ってきたものだ。車内はロングシートとボックスシートを組み合わせたセミクロスシートに改造されており、ボックスシートに座ると外の景色が見やすかった。

成田駅に入線する千葉行き普通列車のイメージ。【作成:鉄道プレスネット編集部】
セミクロスシートに改造された209系のイメージ。【作成:鉄道プレスネット編集部】

列車は千葉駅に到着。ここは改札内のエキナカが充実しており、外に出ることができない大回り乗車では格好の休憩ポイントだ。しかし大きな唐揚げが2個も載ったそばを食べてからあまり時間がたっていない。すぐに総武快速・横須賀線に乗り換えた。

千葉駅の改札内コンコースのイメージ。【作成:鉄道プレスネット編集部】

船橋駅までは総武快速・横須賀線の久里浜行き快速列車に乗る。この路線では1994~1999年に製造されたE271系電車が使われており、ロングシートの背もたれは色が少し抜けた状態で、やや老朽化した感がある。

今秋には新型車両のE235系1000番台電車が導入される見込みで、数年後にはE217系が総武快速・横須賀線から姿を消すことになるだろう。

総武快速・横須賀線の列車のイメージ。【作成:鉄道プレスネット編集部】

12時43分、船橋駅に到着。「変なルート」をたどってきたが、自動改札機はとくに問題なく通過。「船橋→西船橋 140円」の乗車券が改札機に飲み込まれた。改めて西船橋駅までの切符を購入して総武・中央線の各駅停車に乗り、ひと駅先の西船橋駅でゴール。運賃の合計は280円だ。所要時間はともかく、西船橋~我孫子間を単純に往復するより520円安かった。

船橋駅に到着した総武快速・横須賀線の列車のイメージ。【作成:鉄道プレスネット編集部】
船橋駅のイメージ。100km以上移動して運賃は140円だった。【作成:鉄道プレスネット編集部】
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