JR夏の臨時列車の運転計画まとまる 「のぞみ12本ダイヤ」始動、「ながら」設定なし



JR旅客6社はこのほど、夏の臨時列車の運転計画をまとめた。新型コロナウイルスの影響を受け、一時は臨時列車の指定席の発売を見合わせていたが、当初の計画を一部変更して運転。今年2020年3月のダイヤ改正で東海道新幹線に導入された「のぞみ12本ダイヤ」が初めて実施される。

N700Aタイプに統一された東海道新幹線を走る列車。【撮影:草町義和】

東海道新幹線は7・8月の運転計画が6月24日、JR東海から発表された。定期列車と臨時列車をあわせた運転本数は、7月が前年より5%減の1万1440本で、1日あたりでは369本。8月は前年より3%減の1万2493本(1日あたり403本)が運転される予定だ。

8月のうちお盆期間(8月7~17日)に限ると、前年より3%増の4618本(1日420本)。JR東海は「のぞみ12本ダイヤを活用し多くの臨時列車を設定いたします」としている。

東海道新幹線「のぞみ」は片道の最大本数が1時間あたり10本だったが、車両が最高速度285km/hのN700Aに統一されたのを受け、今年2020年3月のダイヤ改正にあわせて最大12本のダイヤに変更された。実際には新型コロナウイルスの影響で臨時列車の運転中止と定期列車の減便が行われたため、「のぞみ12本ダイヤ」はこれまで実施されていなかった。

山陽新幹線の臨時列車もJR西日本が6月24日に発表。7月から8月にかけ計936本が増発される。このうち754本が東海道・山陽新幹線を直通する「のぞみ」で、山陽新幹線のみ走る「のぞみ」も8本増発。「ひかり」は90本が増発される。

JR東日本は6月19日、夏の臨時列車の概要を発表した。7月1日から9月30日までの期間中、新幹線で2601本の臨時列車を運転。在来線特急も2002本の臨時列車を運転する計画だ。また、新幹線と中央本線・常磐線の特急はこれまで2週間ごとに指定席を発売してきたが、6月24日以降は通常通り1カ月先の発売を再開している。JR東海も6月19日に8月分の在来線臨時列車の概要を発表。お盆期間を中心に中央本線の特急「しなの」や高山本線の特急「ひだ」などを増発する。

東北新幹線の列車。【画像:Harusz/写真AC】

JR西日本は7月から8月にかけ計100本の臨時特急を運転すると6月19日に発表。7月の4連休期間に北陸方面の特急「サンダーバード」と紀勢方面の特急「くろしお」を計10本増発する。8月のお盆期間は「サンダーバード」「くろしお」と北陸方面の特急「しらさぎ」、北近畿・山陰方面の特急「きのさき」「はしだて」「はまかぜ」「スーパーはくと」の計82本を増発。ほかに関西エリアの臨時特急「まほろば」計8本を8月下旬に運転する。

JR北海道は6月10日に夏の臨時列車の運転計画を発表しており、7月18日以降、札幌~富良野間の臨時特急「フラノラベンダーエクスプレス」や釧路~塘路間の臨時普通列車(トロッコ列車)「くしろ湿原ノロッコ号」などについて、運転日を減らして運転する。JR四国は5月以降に観光列車などの運転計画を発表しており、7月4日以降に「志国土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」の運転を開始するほか、「四国まんなか千年ものがたり」「伊予灘ものがたり」の運転も再開する。

JR九州は6月19日に在来線の臨時列車の運転計画を発表。在来線特急を618本増発するほか、臨時の観光列車「D&S列車」2788本を運転する。九州新幹線の臨時列車は6月24日に発表。8月7~18日のお盆期間中、山陽・九州新幹線を直通する「さくら」84本と九州新幹線内のみ走る「さくら」42本を増発する。

東京~大垣間を走る夜行の臨時快速「ムーンライトながら」は、今夏の運転が設定されなかった。5月から9月まで京都・大阪~出雲市間で運転される計画だった臨時夜行特急「WEST EXPRESS(ウエストエクスプレス)銀河」も、新型コロナウイルスの影響で運転開始が延期されており、夏季の運転はいまのところ発表れていない。

「ウエストエクスプレス銀河」専用の117系改造車。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

JR旅客6社は通常、7月1日から9月30日まで運転する夏の臨時列車の概要を毎年5月中旬頃に発表し、『時刻表』の6月号(5月発売号)にも夏の臨時列車の詳細が掲載される。今年2020年は新型コロナウイルスの影響による利用者の減少などを受け、JR九州を除く5社は夏の臨時列車の指定席発売を見合わせると5月22日に発表。JR九州は夏の臨時列車を設定しない方針を明らかにしていた。

しかし、政府による新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除され、客足も徐々に回復していることから、旅客6社は運転計画を一部変更したうえで臨時列車を運転することにした。