欧州委員会は11月5日、欧州全域をカバーする高速鉄道ネットワークを2040年までに完成させることを目指す計画を発表した。鉄道や道路、水路、空港などの交通インフラを統合、整備するEUの政策「欧州横断輸送ネットワーク(TEN-T)」の一環。加盟各国の首都を結ぶルートを中心に高速鉄道の整備や既設路線の高速化のプロジェクトを加速させる。

欧州委が示した各区間の所要時間は、北部方面のベルリン(ドイツ)~コペンハーゲン(デンマーク)で現在7時間のところ4時間に短縮する。標準軌鉄道整備プロジェクト「レール・バルティカ」が推進されているバルト3国では、タリン(エストニア)~(ラトビア)を現在の6時間10分から1時間45分に短縮。リガ~ビリニュス(リトアニア)は現在4時間10分のところ2時間に短縮する。
中欧ではベルリン~プラハ(チェコ)経由~ウィーン(オーストリア)を現在8時間以上のところ4時間30分に短縮する。南東方面はソフィア(ブルガリア)~アテネ(ギリシャ)が現在13時間40分だが6時間に短縮。ブダペスト(ハンガリー)~ブカレスト(ルーマニア)は現在の15時間から6時間15分に短縮する。
南西方面はマドリード(スペイン)~リスボン(ポルトガル)の所要時間が現在の9時間から3時間に。マドリード~パリ(フランス)の所要時間も現在の9時間50分から6時間に短縮する。南部方面はミュンヘン(ドイツ)~ローマ(イタリア)を6時間で移動できるようにする。

ベルリン~コペンハーゲンは2030年までに短縮し、ソフィア~アテネの所要時間短縮は2035年までに実施。2040年までに欧州全域の高速鉄道ネットワークを整備することを目指す。
欧州委はこの目標を推進するため、今後数カ月以内に資金調達戦略を策定。拘束力がある計画スケジュールを2027年までに決める方針だ。経済的に実現可能の場合は250km/hを大きく超える高速化も図る。また、国境を越えた鉄道チケットの発券・予約システムの改善や、新規の高速鉄道事業者の参入障壁の撤廃、運転士の資格認定の簡素化なども進める考えだ。
欧州委は「この計画は移動時間の短縮に加え、混雑緩和や在来線の輸送力増強、地域列車や夜行列車のサービス向上にもつながる」と強調。さらに「民間貨物に加え、兵士や軍事装備の迅速な輸送を可能にし、欧州の安全保障強化にも貢献する」としている。
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