JR北海道「廃線跡の活用」外部事業者を募集 日高本線と石勝線夕張支線



JR北海道は8月23日、同社が廃止した鉄道路線について「廃線跡地活用イノベーションプログラム」として、跡地の活用を共同で行う外部事業者の募集を始めた。

廃止された日高本線の日高三石駅。【画像:まこりげ/写真AC】

今回の募集で対象となる廃線跡は、日高本線・鵡川~様似116.0km(2021年廃止)と石勝線夕張支線・新夕張~夕張16.1km(2019年廃止)。JR北海道は跡地に残されている線路や駅(ホーム・待合所)のほか、JR北海道グループが展開している事業のノウハウなどの提供が可能としている。

今回の募集対象となった日高本線と石勝線夕張支線。【画像:JR北海道/Creww Growth】

募集期間は11月30日24時まで。クラウド型オープンイノベーション支援サイト「Creww Growth」で受け付けている。募集期間の終了後、協業事業者の選定を行う。

鉄道の廃線跡は道路に整備し直して活用されることもあるが、廃止される鉄道の多くは沿線人口が少ない単線のローカル線。このため一定の通行量が見込めず、2車線以上の道路を整備する場合は廃線跡の脇の土地を買収して幅を広げる必要があるなど、活用しにくいのが現状だ。近年は残された線路をそのまま使い、トロッコ列車の乗車体験や軌道自転車の運転体験ができる遊具鉄道として活用するケースも目立つ。

江差線・木古内~江差(2014年廃止)の廃線跡を活用した軌道自転車の運転体験施設「道南トロッコ鉄道」。【撮影:草町義和】

JR北海道は外部事業者と共同で廃線跡の活用を進めることについて「かつての日高線(鵡川~様似間)・夕張支線を知る立場では、どうしても当時の記憶にとらわれた発想になりがち」とし、「ここはかつて先人たちが開拓し発展してきた、まさに『オープン』な『イノベーション』を起こす土壌がある北海道。思いもかけない価値を生み出すポテンシャルが、この土地にはあると信じています」と応募を呼びかけている。

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