ことでん「幻の高架化」今後の都市計画のあり方を検討へ



10年前に中止が決まった高松琴平電気鉄道(ことでん)の連続立体交差事業(連立事業)について、香川県は同事業の都市計画の今後のあり方の検討を始める。

ことでんの連立事業が計画された区間(赤)。【作成:鉄道プレスネット編集部/国土地理院の地図を加工】

この連立事業は、高松市内のことでん琴平線(2856m)と長尾線(956m)を高架化し、28カ所の踏切を解消するもの。事業区間内にある高松築港駅と片原町駅、瓦町駅が高架駅になり、このうち高松築港駅は高架化にあわせてJR高松駅の脇に移設する計画だった。

1998年に都市計画が決定。2000年には事業認可を受けて用地買収などが進められたが、ことでんの経営悪化や香川県・高松市の財政難を受け、2010年に中止された。都市計画上は現在も維持されている計画だが、都市計画決定から20年以上が過ぎており、香川県は社会情勢の変化なども踏まえ、今後の都市計画のあり方について検討を行う。

香川県は今年2020年5月7日に「琴電連続立体交差事業都市計画検討業務委託」の公募型プロポーザルを公告。同県土木部都市計画課は「公告した資料に不備があった」として公告をいったん中止したが、今後資料を修正したうえで改めて公告されるとみられる。

香川県の浜田恵造知事は2月の県議会で、「(連立事業は)厳しい県の財政状況やことでんを取り巻く経済状況などを踏まえ中止した」と答弁。一方で連立事業が計画された区間内にある本町踏切は、東西交通のボトルネック解消のため高松市が暫定整備計画を2016年に取りまとめており、知事は「(高松市が)早期の工事着手に向けて詳細設計を行っているとうかがっております」と答弁している。

ことでん琴平線(白)の高松築港駅付近。高架化の際はルートを変更(赤)し、高松築港駅をJR高松駅の脇に移設する計画だった。【画像:反射率 0.39/写真AC/画像を加工】