JR四国「ウイルスで極めて厳しい経営状況」2019年度決算と線区別の輸送密度を発表



JR四国は5月8日、2019年度の決算と鉄道の利用状況などを発表した。今年2020年1月までの業績は前年度2018年度を上回って堅調に推移したが、2月以降は新型コロナウイルスの影響で「極めて厳しい経営状況」になったとしている。

予土線を走る気動車。【画像:KUZUHA/写真AC】

連結ベースの営業損益は120億円の損失で、前年度より損失額が5億円拡大。災害補助金などの特別利益があったことから、当期純利益は3億円増の12億円だった。セグメント別では運輸業の営業損失が136億円の損失で前年度より損失額が3億円拡大した。

鉄道の輸送量は、輸送人員が前年度に比べ1.2%減の4487万1000人。輸送人キロは2%減の13億8200万人キロだった。定期外の利用者は輸送人キロベースで3.2%の減少。定期客は通勤利用が前年度とほぼ同じで通学客が減少した。

線区別の1日1kmあたりの平均輸送人員(旅客輸送密度)は、本四備讃線(瀬戸大橋線)が2万3017人で、これに予讃線・高松~多度津間の2万4014人(前年度比1.7%減)が続く。それ以外は全線区が1万人未満。予讃線・向原原~伊予大洲間(海線)と牟岐線・阿南~牟岐~海部間、予土線は1000人未満だった。このうち最も少ないのは、牟岐線の牟岐~海部間(186人)で、予土線は301人だった。

前年度との比較では、予讃線の多度津~観音寺間と松山~宇和島間、内子線が前年度より0.5~2.6%の微増。それ以外の線区は数%の減少だが、牟岐線の阿南~牟岐~海部間は10%以上減少した。

2019年度の線区別の輸送密度と2018年度との比較。【画像:JR四国】

JR四国によると、同社の全線を利用できるフリー切符の利用者については、実際の利用状況にかかわらず、発売実績に応じて原則として全線で輸送人員と輸送人キロを計上している。たとえば予土線の場合、フリー切符の影響を除いて計算すると、旅客輸送密度は178人になるという。