西武新宿線・井荻~西武柳沢の高架化、都市計画案の説明会始まる コロナで7カ月遅れ



東京都は杉並区・練馬区・西東京市の3市区にまたがる西武鉄道新宿線・井荻~西武柳沢間での連続立体交差事業(連立事業)の実施に向け、都市計画決定の手続きを再開した。10月7日から都市計画案と環境影響評価書案の説明会を行っている。

連立事業実施区間の平面図(上)と縦断面図(下)。【画像:東京都・杉並区・練馬区・西東京市・西武鉄道】

説明会は当初、3月に開催される予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期されていた。まず10月7・8日に練馬区内で実施され、10月9・10日は杉並区内で実施された。今後は10月15日まで練馬区内と西東京市内で行われる。

●10月12日
時間:18時30分~20時
場所:西東京市立東伏見小学校体育館(西東京市東伏見六丁目1番28号)
定員:150人

●10月13日
時間:18時30分~20時
場所:練馬区立関中学校体育館(練馬区関町北四丁目34番23号)
定員:150人

●10月14日
時間:18時30分~20時
場所:練馬区立上石神井中学校体育館(練馬区上石神井四丁目15番27号)
定員:170人

●10月15日
18時30分~20時
場所:西東京市立東伏見小学校体育館(西東京市東伏見六丁目1番28号)
定員:150人

説明会では新型コロナウイルス感染拡大防止の一環として、受付票に氏名や住所、連絡先を記入する必要がある。感染者が発生した場合、参加者や保健所などへの連絡で使用するため。

■車両基地の線路も高架化

この連立事業は、西武新宿線の井荻~西武柳沢間5.6kmのうち、上井草・上石神井・武蔵関・東伏見の4駅を含む約5.1kmの区間を高架化するプロジェクト。19カ所の踏切を解消し、道路混雑の緩和や踏切事故の解消を図る。

東京都によると、高架化と地下化の比較検討を実施。その結果、事業費は高架化が約1710億円、地下化が約2470億円で、事業期間は高架化15年、地下化16年とされた。また、地下化では現在通行できている道路のうち1カ所で通行できなくなるとし、高架化による踏切の解消を選択したという。

都市計画案によると、高架化される4駅のうち上井草駅と武蔵関駅は、現在の相対式ホーム2面2線から島式ホーム1面2線に変更する。島式ホーム2面3線に加え車両基地の出入庫線が1線ある上石神井駅は、島式ホーム2面4線の高架駅になる。東伏見駅は現在の島式ホーム2面4線のまま高架化される。

高架化される4駅の横断面図。【画像:東京都・杉並区・練馬区・西東京市・西武鉄道】

上石神井駅の東側にある車両基地は、現状のままでは高架化した線路に取り付くことができないとされ、車庫内の線路も高架化される。一方で事業費を抑制するため、必要最低限の規模に縮小するという。

同基地付近の横断面図によると、現在は西武新宿線の上下線のほか、上下線のあいだに車庫線が1線、下り線の南側に10線以上の車庫線が並んでいる。高架化では、上り線の北側に保守線を1線、上下線のあいだに車庫線を5線、下り線の南側に車庫線を2線設ける。

上石神井車両基地付近の高架化案による横断面図。車庫線も高架化される。【画像:東京都】

これにより西武新宿線の南側に広大な敷地が創出されるが、東京都は「残った鉄道用地の利用方法は未定だが、駅周辺の発展につながるよう検討する」としている。

東京都は2021年度の都市計画決定、2022~2023年度頃の事業認可取得を目指す。