ヒジャーズ鉄道「復活」シリア領内の整備で中東3国が合意 全長約1300kmの廃線



トルコ・シリア・ヨルダンの3国はヒジャーズ鉄道の「復活」に向けて動き出す。9月11日、3国はヨルダンの首都アンマンでシリアの鉄道整備に関する覚書を締結した。

シリア領内の鉄道整備について覚書を締結したトルコ・シリア・ヨルダンの大臣。【画像:トルコ運輸インフラ省】

トルコの運輸インフラ省によると、ヒジャーズ鉄道のうち内戦で破壊されたシリア領内の約30kmについて、トルコが支援して整備する。ヨルダンは機関車の保守や修理、運行に関する技術支援を行う。ヨルダンの機関車をシリアの首都ダマスカスまで運行する可能性も検討する。

また、トルコから紅海の港湾都市であるヨルダンのアカバまでのアクセスを改善するため共同技術研究を実施するという。トルコ運輸インフラ省のアブドゥルカディル・ウラログル運輸インフラ大臣は「歴史的な一歩が踏み出された」とアピールした。

かつてのヒジャーズ鉄道のルート(太赤)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap】

ヒジャーズ鉄道は現在のシリアの首都ダマスカスからヨルダンの首都アンマンとサウジアラビアのメディナを経てメッカまで計画された鉄道路線。オスマン帝国時代の1900年に着工し、1908年にダマスカス~メディナの約1300kmが開通した。

工事中のヒジャーズ鉄道(1906年)。【所蔵:米国議会図書館】

第1次世界大戦中のアラブ反乱(1916~1918年)で現在のサウジアラビア寄りの線路の大半が破壊されて事実上廃止に。現在のシリア国内の区間も2011年以降の内戦で破壊が進んだ。現在はヨルダン国内の区間のみ運行している。延伸区間として計画されたが実現しなかったメディナ~メッカは、2018年に高速鉄道が開業している。

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