熊本県の木村敬知事は9月22日、熊本空港アクセス鉄道の事業費や需要予測の精査結果など最新の検討状況を明らかにした。事業費は近年の物価高騰などの影響で大幅に増えるが、需要予測や整備効果も従来の試算より上昇するとした。2027年度の整備着手を目指す。

熊本空港アクセス鉄道は豊肥本線の肥後大津駅で分岐し、熊本空港に至る6.8kmの新線を整備する構想。事業費は2022年度時点の試算で約410億円としていた。今回の精査結果では1.5倍近い約610億円に。さらに豊肥本線の機能強化に約60億円かかるとした。木村知事は「4年間の物価上昇や具体的な施工方法の精査を行った結果」としている。
一方、2022年度は需要予測が1日あたり約4900人で、整備効果を示す費用便益比(B/C)は1.03だった。今回の試算結果では、需要予測が1.3倍近い約6500人に増加。B/Cも1.21に上昇した。直近の沿線の開発状況や快速電車の運行を反映した最新の需要予測モデルを構築して改めて算定したといい、知事は「物価上昇などによる事業費の増額を踏まえても十分な事業性が確保される」と強調した。
事業方式について、知事は上下分離方式を採用する方向でJR九州との協議が整ったことを明らかに。「熊本県が第三セクターを設立してJR九州に運行を委託する方式に比べ、(上下分離方式は)JR九州自らが運行主体となり、既存路線と一体的に運行することで、よりよい路線としての成長が期待できる」と話した。

知事は今後、鉄道事業許可の申請に向けて事務協議を加速させていく考え。整備主体となる法人の設立に向けた準備もあわせて進める。事業費については、国に地域産業構造転換インフラ整備推進交付金の対象とするよう働きかけていくとしている。
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