羽田エアポートラインと東急電鉄は8月1日、新空港線(蒲蒲線)の第1期区間の速達性向上計画認定を国土交通大臣に申請した。認定された場合、羽田エアポートラインと東急電鉄は鉄道事業法に基づく鉄道事業許可を受けたとみなされる。

事業の実施区域は東京都大田区内で、東急多摩川線・矢口渡~蒲田の中間(新蒲田2丁目)から東急多摩川線の蒲田駅(西蒲田7丁目)を経て京急本線・空港線の京急蒲田駅付近(蒲田4丁目)まで1.7km。矢口渡~蒲田の中間から蒲田駅までの0.9kmは実質的には東急多摩川線の既設線を地下化する形になる。営業上の新線区間は蒲田駅から蒲田新駅(仮称、京急蒲田駅付近)までの0.8kmだ。
鉄道の種類などは東急多摩川線と同じ普通鉄道で軌間1067mm。運行区間は渋谷方面~多摩川~蒲田~蒲田新駅になる。東急東横線から乗り入れる列車が停車できるよう、東急多摩川線の多摩川駅と下丸子駅のプラットホームの整備もあわせて実施。蒲田駅では東急多摩川線~池上線の接続線や車両留置施設の整備も行う。

蒲田~蒲田新駅の1時間あたりの運行本数は朝ラッシュ時が20本で、それ以外の時間帯は10本。車両編成数は3両または8両とする。所要時間は中目黒~蒲田新駅が約23分で、いまより13分の短縮。自由が丘~蒲田新駅は22分短縮の約15分だ。運賃は東急電鉄の運賃体系を基本としつつ、蒲田~蒲田新駅は加算運賃を設定する。
総事業費は約1248億円。羽田エアポートラインが整備主体として整備し、完成後は東急電鉄が営業主体として羽田エアポートラインに施設使用料を払って運営する。整備期間は開業後の残工事期間を含め2025年10月~2042年3月の予定。運行開始時期は「令和20年代前半」(2038~2042年)としている。
蒲蒲線は東急多摩川線と京急空港線を連絡することで、渋谷・新宿・池袋などや東京都北西部、埼玉県南西部と羽田空港とのアクセス向上を図る新線の構想。構想区間は矢口渡~蒲田~京急蒲田~大鳥居だが、このうち矢口渡~京急蒲田を第1期区間として事業着手することが決まった。

2022年10月、第1期区間の整備主体となる第三セクターの羽田エアポートラインが設立。同社と営業主体の東急電鉄は今年1月、都市鉄道等利便増進法に基づき営業構想・整備構想の認定を申請し、4月に認定された。
今回の速達性向上計画認定は営業構想・整備構想認定の次の手続きとなるもの。速達性向上計画が認定されると、東急電鉄は第2種鉄道事業の許可を受けたとみなされ、羽田エアポートラインも第3種鉄道事業の許可を受けたとみなされる。
《関連記事》
・蒲蒲線の整備にあわせ東急多摩川線「一部駅でプラットホーム整備」構想認定
・東急電鉄「蒲蒲線」鉄道法規上の手続き開始 中目黒~京急蒲田は13分短縮
・新空港線:矢口渡~蒲田~京急蒲田~大鳥居(未来鉄道データベース)
