都市鉄道の混雑率「やや悪化」コロナ前との差は東京圏で24ポイントに



国土交通省は7月29日、全国の都市鉄道を対象に実施している混雑率調査の昨年度2024年度の結果を公表した。コロナ禍の収束に伴って混雑率は急速に悪化していたが、2024年度はやや悪化した程度にとどまった。

JR線では混雑率が最悪だった埼京線。【画像:Ys_Rail_Photo/写真AC】

2024年度の混雑率調査では、全国都市部のJR線・大手私鉄・公営地下鉄・路面電車・モノレール・新交通システムを中心に、おもに2024年10~11月の1日または複数日の乗車人員データを基に計算した。三大都市圏の主要区間の混雑率は、東京圏(31区間)が139%。大阪圏(20区間)は116%で、名古屋圏(8区間)は126%だった。

三大都市圏主要区間の混雑率の推移。【画像:国土交通省】

東京圏の場合、コロナ禍が本格化する前の2019年度で163%だったが、コロナ禍の2020年度は107%で大幅に改善。その後はコロナ禍の収束に伴い、2022年度は前年度から15ポイント上昇の123%、2023年度は13ポイント上昇の136%と再び悪化し、コロナ禍前の水準に戻りつつあった。しかし2024年度は前年度からの差が3ポイントと小幅な上昇にとどまり、コロナ禍前との差は依然として24ポイントある。テレワークの定着が影響している可能性がありそうだ。

5年連続で混雑率が全国最悪だった日暮里・舎人ライナー。【撮影:草町義和】

混雑率のワースト1位は、東京圏の新交通システム「日暮里・舎人ライナー」の赤土小学校前→西日暮里(177%)で5年連続。2023年度(171%)に比べ6ポイント悪化し、2019年度(189%)との差は12ポイントに縮小した。2位は福岡都市圏の大手私鉄線で西鉄貝塚線の名島→貝塚(164%)。3位は東京圏のJR埼京線・板橋→池袋と地下鉄の東京メトロ日比谷線・三ノ輪→入谷で、どちらも163%だった。

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