JR北海道「新型ラッセル気動車」新製へ 2020年度の事業計画を認可申請



JR北海道は3月31日、2020年度の事業計画を策定し、国土交通大臣に事業計画の認可を申請したと発表した。北海道新幹線の速度向上や新型車両の導入などを進める。

北海道新幹線は青函トンネル区間で最高速度210km/hの営業運転を実施する。【画像:p_p/写真AC】

北海道新幹線では、営業最高速度が160km/hに抑えられている青函トンネル内で、特定の時期における時間帯区分方式による速度向上を図るため、運行管理システムの改修などを進め、最高速度210km/hの営業運転を実施する。

現在工事中の新函館北斗~札幌間では、営業最高速度320km/hを実施するための準備を進め、東京~札幌間の所要時間を最短で4時間30分程度にすることを目指す。

札幌駅では11番線ホームの新設工事や同駅付近の高架橋、新幹線と在来線のホームをつなぐ跨線橋(こせんきょう)の詳細設計に着手。倶知安駅や長万部駅でも新幹線の建設で支障する施設の移転工事を進める。

在来線では、新型車両のH100形気動車の導入を引き続き進め、老朽化したキハ40系気動車の更新を実施。キハ261系特急型気動車(多目的車両の5000番台を含む)の増備や、789系特急型電車の機器類の取替なども行う。また、除雪機械の更新を行うほか、「新型ラッセル気動車」を新製して各種試験を実施。冬季の安全輸送の確保を図る。

気動車タイプのラッセル車としては、JR西日本が2014年に導入したキヤ143形がある。一方、JR北海道はJR東日本で実績のある大型除雪機械ENR-1000を試験的に導入。ENR-1000は法令上は鉄道車両ではないため、営業列車を運休して線路を閉鎖した状態でないと使用できないが、JR北海道はENR-1000を鉄道車両化した新型ラッセル気動車の開発・設計を行っている。

JR西日本が導入した気動車タイプのラッセル車(キヤ143形)。【画像:じょんじょんぺ/PIXTA】
JR東日本のENR-1000大型除雪機械。JR北海道も試験的に導入している。【撮影:草町義和】

1日1kmの平均通過人員が2000人未満の「当社単独では維持困難な線区」のうち、鉄道廃止・バス転換が考えられている線区については、札沼線・北海道医療大学~新十津川間を5月に廃止する。災害の影響で長期運休中の日高本線・鵡川~様似間は、バス転換に向けて沿線自治体と「最終的な合意」を得ることを目指す。

2020年度は輸送人員が1億3500万人、輸送人キロが4億1900万人キロの見通し。全事業の営業損益は432億円の損失、経営安定基金の運用益なども含めた経常損益は134億円の損失を見込む。当期純損益は24億円の損失の見込み。ただし新型コロナウイルスによる利用者の減少で見通し大幅に下回るとみられる。

JR北海道のH100形。【画像:もりみと/PIXTA】