松山駅西側「路面電車スペース含む道路」完成時期公表 県知事「延伸早くして」



愛媛県の中村時広知事は5月21日、JR予讃線・松山駅付近の高架化に関連する事業として工事中の都市計画道路「松山駅西口南江戸線」について、来年2026年夏ごろに完成する見込みになったことを明らかにした。この道路は路面電車の軌道を敷設するためのスペースが含まれており、伊予鉄道の路面電車(松山市内線)の延伸が今後の焦点になる。

伊予鉄道松山市内線の路面電車。【画像:taso583/写真AC】

予讃線の松山駅付近では、線路を高架化して踏切8カ所を解消する連続立体交差事業(連立事業)と、この事業にあわせて周辺の道路整備やまちづくりを行う関連事業が行われている。このうち線路の高架化は昨年2024年9月に完了した。

中村知事は「関係者などとの調整がすべて完了した」として、地上に残る旧ホーム・旧駅舎の撤去が本年度2025年度中に完了することを明らかに。松山駅西口南江戸線も2026年夏ごろに完成の見通しになったことを明らかにした。旧ホーム・旧駅舎の撤去と松山駅西口南江戸線の完成により、連立事業と関連事業のうち愛媛県を事業主体とする部分はすべて完了する。

松山駅西口南江戸線は松山駅の西口と松山環状線を結ぶ全長約480m・幅34mの都市計画道路。車道(4車線)や歩道などに加え、中央部に路面電車の軌道を敷設するスペースとして幅7mの分離帯を設ける。

松山駅西口南江戸線の平面図(北は下)。【画像:愛媛県】
松山駅西口南江戸線の横断面図。中央部の「分離帯」が路面電車の軌道敷設スペースになる。【画像:愛媛県】

現在の構想では、伊予鉄道松山市内線のJR松山駅前停留場を新しい東口駅前広場に移設。ここで分岐して予讃線の高架橋をくぐり、松山駅西口南江戸線を西に進んで松山環状線とぶつかる部分まで延伸することが考えられている。延伸は松山市と伊予鉄道の事業になるが、事業化のめどは立っていない。

松山市内線の延伸構想(緑=既設軌道の移設、赤=軌道の新設)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

中村知事は「JRの高架下を路面電車が通るというプランが新しい試みだということで、これがきっかけになって松山駅付近の連立事業が国に認可されたという経緯がある。これ(路面電車の延伸)はしっかりやっていく必要がある」と話した。延伸の事業化については「松山市で決めることだから口出しはできない」としつつ、「一刻も早くやってほしい」ということを松山市に文書で申し入れたことを明らかにした。

《関連記事》
伊予鉄道松山市内線の延伸:松山駅前~南江戸(未来鉄道データベース)
伊予鉄道の坊っちゃん列車「お茶」に 伊藤園のラッピング、運行維持の後押しに