ゆいレール「塩害」で既存車両の更新期間を短縮へ 3両編成化も加速



沖縄都市モノレール線(ゆいレール)を運営する沖縄都市モノレールは新しい中期経営計画を策定した。計画期間は2025~2029年度の5年間。列車の3両編成化を加速させて混雑緩和を目指すほか、既存車両の更新も従来の想定より早期に進める。

ゆいレールの2両編成の列車。【撮影:草町義和】

ゆいレールの列車は2003年の開業時から2両編成で運行されていたが、2023年度は3両編成2本を新造導入。2024年度も3両編成2本を新造導入している。今後は2025~2027年度に4本導入し、3両編成を合計9本にする計画だ。定員は2両編成が165人なのに対し、3両編成は約1.5倍の251人。インバウンドを中心とした観光客向けの大型荷物スペースも新たに設置している。

ゆいレールの1日平均の乗客数は、コロナ禍が本格化する前の2019年度で5万5766人。朝ラッシュ時間帯の混雑率は119%だった。コロナ禍が本格化した2020年度は3万44人に落ち込み、混雑率は運行本数を37本減らしたにもかかわらず92%に改善されている。

その後、乗客数は急速に回復。2024年度は5万8541人で2019年度を上回り、混雑率も2019年度に比べ運行本数が8本増えて一部列車が3両化されているにもかかわらず119%に戻った。沖縄都市モノレールは今後も利用者が増加し続けると見込んでおり、2029年度の輸送人員は7万1000人になると想定。同社は「懸案事項である車内の混雑緩和対策に引き続き取り組む」としている。

ゆいレールの近年の利用状況と運行本数。【画像:沖縄都市モノレール】
2023年度から導入されている3両編成の列車。【画像:トイズストック/写真AC】

このほか、開業から20年以上が経過して老朽化が進む各種設備の更新に着手する。2028~2033年度に信号設備の更新を行うほか、2029~2030年度には駅舎の増改築工事を実施する方針だ。

また、既存の車両は「塩害等による車両の経年劣化状況」を鑑みるとして、更新時期を当初想定していた40年から30年に変更。2032~2033年度に車両の更新を行う方針だ。

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