台湾鉄路は10月13日、「総統花車」こと総統専用車両(35SA32820客車)を連結した観光列車の運行を開始した。35SA32820が運行されるのは33年ぶり。中央通訊社などが伝えた。
総統花車は台湾政府の総統が各地を視察するために利用する専用車両。日本の乗り物ではお召し列車で使われるJR東日本E655系電車「なごみ」の特別車両(E655-1)に相当する。35SA32820は蒋介石総統時代の1967年に観光車両を改造して登場した総統花車。車内には会議室や応接室、寝室などが設けられた。
蒋介石が乗ったことはなく、実際に総統の視察で使われたのは1991年、李登輝総統時代の一度きり。その後は運用されることがなく一般にも公開されていなかった。台湾鉄路は「台湾で最も貴重な鉄道文化財」と位置付け、今年2024年1月の国営企業化を機に35SA32820の観光列車プロジェクトを立ち上げて改修。33年ぶりに復活した。
観光列車は35SA32820に加え、日本のJRの急行列車に相当する莒光号の客車を連結。編成後部には「客廳車」と呼ばれる展望デッキ付きの豪華車両(35PC32701客車)も連結し、ディーゼル機関車2両が牽引する。35PC32701も1991年の総統花車の運行時に連結された。
中央通訊社によると、観光列車の一番列車は10月13日の11時過ぎ、約100人の客を乗せて台湾東部の花蓮駅を出発したという。当面は花蓮~富里で運行され、11月3日以降は台東~瑞穂で運行される予定だ。
※追記(2024年10月15日16時):一部修正、加筆しました(公開当初、35PC32701の写真の説明に誤りがありました。おわびして訂正いたします)。
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