国土交通省の関東運輸局長は8月30日、関東鉄道(茨城県)が申請していた鉄道旅客運賃の上限変更を認可した。これを受けて関東鉄道は10月1日に運賃を値上げする。改定率は6.4%。
普通旅客運賃の値上げ額は5kmまでの区間が20円で、6~9kmは30円、10kmは10円。10kmを超える比較的長距離の区間は割高感の軽減を図るとして現行運賃を据え置く。初乗り(3km未満)の場合、ICカードの1円単位運賃は現行143円のところ19円値上げの162円に。10円単位運賃では現行150円から20円値上げの170円になる。
定期旅客運賃も通勤定期は10kmまでの区間で値上げし、10kmを超える区間は据え置き。通学定期は家計負担に配慮するとして全区間で現行運賃を据え置く。「常総線1日フリーきっぷ」(2000円)や「TX&常総ライン往復きっぷ」(2420円から)などのおもな企画切符も、利便性向上のためとして現行運賃を据え置く。
関東鉄道によると、少子高齢化による沿線人口の減少に加え、コロナ禍の収束後も利用者が回復していない。一方で施設の老朽化対策やサービス向上、社員の賃金水準の維持に取り組むため、運賃の改定が必要と判断したという。
国土交通省と関東鉄道によると、関東鉄道の鉄道事業の収支は2023年度の推定で収入が24億8078万6000円なのに対し、支出は22億5711万8000円で2億2366万8000円の黒字の見込み。一方で2024~2026年度の3年間合計の推定では、現行運賃のままなら4億6608万3000円の赤字が見込まれるのに対し、運賃を値上げした場合は4886万1000円の赤字。赤字幅が3年間で4億円以上縮小される見込みだ。
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