天橋立ケーブルカー「値上げ」定期券は廃止 六甲ケーブルも上下分離で「新運賃」に



天橋立ケーブルカー(京都府宮津市)を運営する丹後海陸交通は旅客運賃の上限変更認可を国土交通省の近畿運輸局長に申請した。認可された場合、4月1日に運賃を値上げする。

運賃が値上げされる天橋立ケーブルカー。【画像:ちゅらりんこ/写真AC】

申請は2月9日付けで改定率は17.6%。普通旅客運賃は現行340円のところ60円値上げして400円に改定する。定期旅客運賃は現行(大人1カ月)で通勤が5410円、通学が4050円だが、今回の改定を機に廃止する。丹後海陸交通によると、定期券は過去3年にわたり利用がないという。このほか、天橋立ケーブルカーに併設されているリフトも同額に改定する。

丹後海陸交通によると、ケーブルカーの利用者は1991年度の約112万人をピークに減少。2016年度には約55万人に落ち込んだ。その後は下げ止まり傾向にあったが、コロナ禍の影響で2021年度には約18万8000人に落ち込んだ。一方で今後は老朽化が進む車両や施設の更新が必要で、人件費の増加なども見込まれることから、運賃改定を申請したという。

2022年度の収支実績は8297万8000円の赤字で、2023年度は2171万6000円の赤字の見込み。2024~2026年度(3年間平均)は現行運賃のままなら5445万8000円の赤字だが、運賃を改定した場合は赤字額が2741万4000円に縮小される見込みだ。

近畿地方のケーブルカーではこのほか、六甲ケーブル(神戸市)を運営する六甲山観光も旅客運賃の上限設定認可を2月9日付けで近畿運輸局長に申請した。

六甲ケーブルは4月1日に上下分離が実施される予定。阪神電鉄が第3種鉄道事業者として施設を保有し、六甲山観光は阪神電鉄から施設を借り入れてケーブルカーを運行する第2種鉄道事業者に変わる。このため、六甲山観光は上限運賃を改めて設定して認可を受ける必要がある。

六甲ケーブルも上下分離に対応した新運賃に変わるが実質的な変化はない。【画像:nekko_nekon/写真AC】

申請によると、新運賃は普通旅客運賃の上限がいまより200円高い800円。ただし六甲山観光は認可後、実際に適用する運賃(実施運賃)を現在と同じ額(600円)で届け出る考えで、上下分離の実施時点では実質据え置きだ。定期旅客運賃の上限も現行運賃を据え置き、大人1カ月の場合で通勤が8160円、通学が3310円になる。

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