JR九州「SL人吉」ラストランは2024年3月24日に 「ハチロク」営業列車が消滅



JR九州は1月25日、まもなく運行を終了するSL列車「SL人吉」について、ラストランとなる3月の運行計画を発表した。一般の臨時列車としては3月23日限りで運行を終了するが、3月24日にラストランと運行終了式典が実施される。

まもなくラストランを迎える「SL人吉」。【画像:JR九州】

一般の臨時列車としての運行日は3月1~4・7~11・14~17・20~23日で、指定席券は運行日の1カ月前の10時から発売。3月22日までは鹿児島本線・鳥栖~熊本で運行される。時刻は3月15日までが熊本10時58分→鳥栖13時37分、鳥栖15時11分→熊本17時33分で、3月16日からは熊本10時54分→鳥栖13時35分、鳥栖15時12分→熊本17時33分。

一般臨時列車としての最終日(3月23日)は運行区間を博多~鳥栖に拡大。上り(熊本→博多)はディーゼル機関車で牽引し、下り(博多→熊本)が蒸気機関車の牽引になる。時刻は熊本7時40分→博多11時49分、博多13時48分→熊本17時38分。

3月24日は沿線関係者などの招待客を乗せて熊本駅から八代駅まで運行。八代駅では11時ごろから11時50分ごろまで運行終了式典が行われる。式典の開催直前(10時58分ごろ)、蒸気機関車の牽引で「SL人吉」が同駅に入線する。見学には入場券が必要で、混雑の状況によっては入場を制限する場合がある。

「SL人吉」は鹿児島本線・肥薩線の熊本~人吉で運行されていたSL列車。2020年の水害で肥薩線が不通となったことから同線での運行を休止し、その後は鹿児島本線の臨時列車として運行されている。「ハチロク」こと8620形蒸気機関車が58654号機が50系客車の改造車を牽引して走る。

臨時列車「SL鬼滅の刃」として鹿児島本線を走行したときの58654号機と50系。【画像:JR九州】

58654号機は1922年に完成し、九州の国鉄線で運用された。1975年の引退後は肥薩線の矢岳駅前で静態保存されていたが、JR九州の発足時に動態復元してSL列車を走らせる構想が浮上。ボイラーを新製するなど大規模な修復を行い、1988年から「SLあそBOY」「SL人吉号」の牽引機として豊肥本線や肥薩線で運行された。

老朽化による不具合もあり2005年にはいったん引退したが、台枠を新製するなど再び大規模修繕を経て、2009年から「SL人吉」牽引機として熊本~人吉で運行されるようになった。しかし最初の新製から100年を迎えた2022年、JR九州は老朽化が激しいうえ部品調達やメンテナンスのための技術者の確保も難しくなっているとして、2023年度限りでの運転終了を発表していた。

8620形は全国各地で静態保存されているが、動態保存されているのは58654号機のほか京都鉄道博物館の8630号機のみ。8630号機は構内運転のみで、58654号機が引退すると営業運転で使用可能な8620形が消滅する。

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