関西大手私鉄の回数券「消滅」へ 近鉄「パールカード11」終了、ICポイント導入



近鉄は11月6日、普通回数乗車券(回数券)「パールカード11」などの発売を終了すると発表した。これに伴い来年2024年2月から「近鉄ICOCA(イコカ)ポイント還元サービス」を導入する。関西大手私鉄から回数券が消える。

近鉄線の大和西大寺駅。【撮影:草町義和】

「近鉄ICOCAポイント還元サービス」は、あらかじめサービスの利用を登録した交通系ICカード「ICOCA」で1カ月(1日~末日)のあいだに対象路線を11回以上乗車すると、利用総額の10%のポイントが付与されるもの。ポイントは登録したICOCAに1ポイント=1円としてチャージ可能。10ポイント未満の端数は切り捨てになる。

利用できるICOCAは通常のICOCAカードのほか、こどもICOCA・SMART ICOCA・KIPS ICOCA・モバイルICOCAも対象。他社で購入したICOCAカードも使える。KIPS ICOCAはこのサービスによるポイント付与に加え、KIPSポイントが別途付与される。対象路線は近鉄線の全線だが、生駒ケーブルと葛城山ロープウェイは対象外。サービスの利用登録やポイントのチャージは定期券の自動券売機で受け付ける。

近鉄は回数券を磁気式カードで発売しており、来年2024年2月29日限りで普通回数乗車券カード「パールカード11」の発売を終了。時差回数乗車券カード「オフピークチケット」と土・休日割引回数乗車券「サンキューチケット」も同時に発売を終了する。

これらは発売終了後も券面に記載されている有効期間中は利用できる。また、通学用割引回数乗車券と身体障がい者・知的障がい者・精神障がい者用割引回数乗車券、生駒鋼索線用回数乗車券は発売を継続する。

回数券はICカードの普及などで利用者が減少し、発売を終了する鉄道事業者が増えている。JR旅客6社は昨年2022年11月までに発売を終了。大手私鉄では2022年12月までに東武鉄道・小田急電鉄・相鉄・名鉄・京阪電鉄・阪神電鉄・西鉄の7社が発売を終了した。

今年2023年には西武鉄道・京王電鉄・東急電鉄・東京メトロ・南海電鉄・阪急電鉄が8月までに発売を終了した。現在発売しているのは、関東大手私鉄が京成電鉄と京急電鉄の2社のみ。関西大手私鉄は近鉄の1社だけで、同社が発売を終了すると関西大手私鉄で回数券を発売する会社が消滅する。

南海電鉄は2023年3月限りで回数券の発売を終了した。

JR旅客6社・大手私鉄ともに障害者用の割引回数乗車券は発売を継続。通学用の割引回数乗車券は終了した会社と継続している会社に分かれる。

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