沖縄県内でJRの切符「購入不可」に 那覇市内の旅行代理店が取り扱い終了へ



旅行会社の日本旅行は、沖縄支店(那覇市)でのJR券の取り扱いを終了することを決めた。同支店は沖縄県内でJRの切符を購入できる唯一の旅行代理店といわれ、沖縄県内でJR線の切符をすぐに購入できる場所がなくなるとみられる。

米軍の攻撃で破壊された沖縄県営鉄道の那覇駅。沖縄県内に国鉄・JR線が存在したことはない。【画像:米軍、所蔵:沖縄県公文書館】

JR券の取り扱いは12月15日の乗車分まで。日本旅行は「諸般の事情」で取り扱いを終了するとしている。12月16日以降の乗車分のJRの切符について、同社は客自身でインターネットなどで購入するよう案内している。

沖縄県には戦前に路面電車や県営鉄道が存在したが、利用者の減少や米軍の攻撃で消滅。JR線は国鉄時代も含め存在したことはない。2003年に沖縄都市モノレール線(ゆいレール)が開業し、沖縄本島を縦断する鉄道も構想されているが、JR線の具体的な建設計画はない。

一方でJRの予約・販売ネットワーク「マルス」に接続された端末がある旅行代理店などでは、あらかじめ旅行の行程などを伝えておかなくても来店時にJRの切符をすぐに購入できた。

2003年に開業したゆいレールの列車。【撮影:草町義和】

近年はネット予約の普及に伴い旅行代理店で切符を購入する人が減り、沖縄に限らず全国各地の旅行代理店で鉄道切符の単独販売を終了するところや、代理店自体が閉店するケースが相次いでいる。JR九州は那覇市内に沖縄支店を設けてJR券を販売していたが、2017年に営業を終了した。

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