藤沢駅の改良工事「第1期」小田急側がスタート 橋上化で地上改札どうなる?



神奈川県藤沢市と小田急電鉄は6月12日、藤沢駅の改良工事に着手すると発表した。両者は同日、2期に分けて計画されている改良事業のうち第1期工事の工事協定を締結。橋上駅舎を整備するほか、駅の南北を結ぶ自由通路の拡幅なども行う。2028年3月末の完成を目指す。

第1期工事完了後の小田急藤沢駅のイメージ。【画像:小田急電鉄】

第1期工事では小田急江ノ島線のホーム上に橋上駅舎(約2451平方m)を整備。橋上駅舎の改札と南北自由通路を接続する。駅コンコース内にはエレベーター2基とエスカレーター4基を設ける。

観光案内施設や公衆トイレ、交番の機能は新たな駅施設の一角に再整備する。自由通路は小田急側の部分(長さ約41m、幅8m)について、幅を16mに拡幅。南口付近にはエレベーターを整備する。このほか、小田急電鉄は鉄道駅バリアフリー料金制度を活用し、駅の改良工事にあわせてホームドアを整備する。

橋上駅舎と自由通路のイメージ。【画像:小田急電鉄】
橋上駅舎の改札と接続する自由通路は幅を広くする。【画像:小田急電鉄】
第1期工事の範囲。【画像:小田急電鉄】

総事業費は83億6832万1000円。藤沢市は自由通路の事業主体として64億2101万1000円を負担し、小田急電鉄は駅改良の事業主体として19億4731万円を負担する。工期は今年2023年6月12日から2028年3月31日まで。

第1期工事が完了すると、自由通路内の乗換動線の交錯が解消されるほか、JR東海道本線と小田急江ノ島線、江ノ島電鉄の鉄道線(江ノ電)の3線が同一フロアで乗り換えることができるようになる。藤沢市と小田急電鉄はこれにより駅南北の連携が強化され、利便性や回遊性の向上とまちの活性化が図られるとしている。

駅舎の橋上化でメインの改札は2階に移るが、藤沢市と小田急電鉄は1階の地上改札も一部残す考えだ。

駅の出入口のイメージ。【画像:小田急電鉄】

現在の藤沢駅にはJR東海道本線と小田急江ノ島線、江ノ島電鉄の鉄道線(江ノ電)が乗り入れている。このうちJR東海道本線と小田急江ノ島線が隣接し、江ノ電の藤沢駅は少し離れた場所にある。JR東海道本線の藤沢駅は地上にホーム、その上に橋上駅舎を設置。駅の南北を結ぶ自由通路と接続している。

一方、小田急江ノ島線の藤沢駅はJR東海道本線の南側地上に線路があり、スイッチバック方式を採用。ホーム東端の地上に駅舎と改札を設けている。自由通路はこの上を通り抜けるようにしてJR駅と江ノ電駅をつなぐ格好となっており、小田急駅からの乗換動線が交錯しているなどの課題を抱えていた。

藤沢市とJR東日本、小田急電鉄の3者は2019年2月、藤沢駅の改良事業と自由通路拡幅事業に関する基本協定を締結。当初はJR側と小田急側を一体で工事する方針だったが、2020年からのコロナ禍で事業の実施が先送りに。乗換動線の交錯の早期解消などを図るため小田急側を第1期として先行整備することになり、2019年9月に3者は覚書を締結した。

段階的な整備の流れ。まず第1期工事で小田急側を整備する。【画像:藤沢市】

第2期工事では、JR側の自由通路拡幅やJR~小田急の乗換連絡通路の整備などが行われる。藤沢市は2028年3月末の第1期工事の完了にあわせ、継続的に第2期工事を実施できるよう調整するとしている。

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