伊予鉄道が鉄道線(郊外電車)に新型車両を導入する計画を立てていることが分かった。同社は5月30日、国土交通省の四国運輸局長に鉄道線と軌道線(路面電車の市内電車)の運賃改定を申請。5月31日に申請内容を発表し、そのなかで主要プロジェクトの一つとして郊外電車向け新型車両の導入に触れた。
それによると、郊外電車向けの新型車両は軽量化を図り、制御装置にVVVFインバーター方式を採用。バリアフリーにも対応するという。車内外のデザインや導入時期など詳細な内容は明らかにしていない。
伊予鉄道の郊外電車で営業運行に使われている電車は約50両。1995年に製造されたオリジナル車の610系4両を除くと、すべて他社から譲り受けた中古車両だ。京王帝都電鉄(現在の京王電鉄)から1990年前後に譲り受けた1960年代製造の700系(もと初代・5000系)と、2009年以降に京王電鉄から譲り受けた1980年代製造の3000系で構成される。
伊予鉄道は新型車両の導入で老朽化した車両を更新し、消費電力の削減や安全輸送の確保、環境負荷の低減を図るとしている。
市内電車でも新型の低床式車両の導入を継続し、老朽車を更新。車両修繕作業や経費の削減、安全輸送の確保、経営の健全化を図る。このほか、老朽化した変電所や駅の更新・修繕、駅のバリアフリー化も主要プロジェクトとして盛り込んだ。
伊予鉄道が発表した運賃改定の申請内容によると、改定率は郊外電車が5.0%で、市内電車は11.1%。普通旅客運賃の上限は、郊外電車の初乗り運賃を現行180円から20円値上げして200円に。それ以外の各距離帯も20円引き上げる。市内電車は現行180円から20円値上げの200円だ。
定期旅客運賃の上限は各区間の運賃を基に所定算定式により変更する。郊外電車で通勤1カ月の場合、9.1~11.0kmは790円値上げの1万8220円。市内電車の通勤1カ月も790円値上げの7920円になる。
伊予鉄道によると、電気料金などエネルギー価格の高騰に加え物価の上昇などで運行経費が増加。老朽化した車両や施設を更新し、輸送の安全確保・利便性を向上させるため運賃改定を申請したという。
伊予鉄道と同じグループの伊予鉄バスも、伊予鉄道と同日に運賃改定を申請した。上限運賃の平均改定率は23.2%。伊予鉄道と伊予鉄バスは運賃改定が認可された場合、10月1日に運賃を改定する予定だ。
伊予鉄道は2021年12月、消費税率の引き上げによるものを除いて27年ぶりに運賃を値上げしていた。同社は前回から2年で運賃を再び値上げすることになる。
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