JR「ジャパン・レール・パス」大幅値上げ 「のぞみ」「みずほ」条件付き利用可能に



JRグループは4月14日、外国人向けのフリー切符「ジャパン・レール・パス」について、10月頃をめどに価格改定などを実施すると発表した。大幅に値上げされる一方、これまで利用できなかった列車が条件付きで利用できるようになる。

東海道・山陽新幹線の「のぞみ」などで運用されているN700S。【画像:toshi-chan/写真AC】

「ジャパン・レール・パス」は訪日外国人観光客に限りJR全線を自由に乗り降りできるフリー切符。座席は普通車用とグリーン車用の2種類で、利用期間は7日間用・14日間用・21日間用の3種類ある。新幹線を含む特急列車から普通列車まで乗車できるが、東海道・山陽新幹線「のぞみ」と山陽・九州新幹線「みずほ」は利用できない。

今回の改定では「のぞみ」「みずほ」ともに利用可能にする。ただし乗車前に専用の切符を追加で購入する必要がある。JRグループは専用切符の価格など詳細は別途案内するとしている。このほか、日本国内窓口での試験発売は終了し、専用サイトでの発売に統合する。

発売額はJR指定販売店・代理店で購入する場合と専用サイトで購入する場合で異なるが、改定後は統一。指定販売店・代理店での購入は現行額から約65~77%の値上げで、専用サイトでの購入も約49~56%の値上げになる。普通車用・7日間用の場合、現行額は指定販売店・代理店購入で2万9650円、専用サイト購入では3万3610円。改定後は5万円に統一され、1万6390~2万350円の値上げだ。

「ジャパン・レール・パス」の現行額と改定額(単位:円、購入時6歳以上~12歳未満は半額)。【画像:JRグループ】

JRグループは価格改定の理由として、「のぞみ」「みずほ」を条件付きで利用可能にすることのほか、「新幹線延伸による周遊可能エリアの拡大や専用サイトでの発売・指定席予約の導入、自動改札機の利用等によるサービスアップ」を挙げている。

大幅値上げの背景には円安の影響で値上げ幅を実質的に抑えられることもあるとみられる。発売額を米国ドルに換算した場合、普通車用・7日間用(専用サイト購入)はコロナ禍前の2019年12月(1ドル約110円)で約306ドル。一方、改定額を今年2023年4月の相場(1ドル約134円)で換算すると約373ドルで、実質的な値上げ率は約22%に抑えられる。

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