奈良県・大和郡山市・近鉄の3者は2月3日、近鉄郡山駅の移設に関する基本協定を締結した。これにより事業費の負担割合や移設後の新駅舎の使用開始時期にめどがついた。3者は今後連携して駅の移設や周辺整備を推進する。
周辺のまちづくりなどを含めた事業費の総額は約100億円の見込みで、このうち駅の移設費は約40億円強の見込み。基本協定の概要によると、駅の移設に伴い新設する橋上駅舎は近鉄が整備。その費用は国庫補助の活用のうえ、3者で均等に負担する。駅前広場や歩行者デッキなどの駅周辺施設は大和郡山市が整備。奈良県と大和郡山市は今後、まちづくり連携協定制度に基づき負担額を定めた協定を別途締結する。
近鉄郡山駅は近鉄橿原線・九条~筒井の中間にある駅。駅の周辺は自動車や歩行者、自転車が交錯していて安全な通行が確保されておらず、駅前のスペースも不足。バスターミナルは駅から離れていて利便性が低いなどの課題を抱えている。
奈良県と大和郡山市は2019年7月、「城下町の風情を活かし、歩いて健康に暮らすことができるまちづくり」をコンセプトに駅とその周辺の整備方針をまとめた基本計画を策定。本年度2022年度には概略設計がまとまったことから、近鉄を含む3者で事業推進の枠組みを決めるための協議が進められていた。
基本計画によると、近鉄郡山駅を大和西大寺寄り(北)へ約150m移設。新しい駅の東側には現在のバスターミナルが隣接し、利便性を向上させる。バスターミナルも再整備して駅前広場や歩行者デッキ、送迎スペース、新しいバスターミナルを設け、人の集まる空間の確保などを図る。
来年度2023年度は大和郡山市が工事着手に向けた現地調査を実施。奈良県は周辺まちづくりの機運醸成に向けたセミナーなどを開催する。新駅舎の使用開始は2030年度を目指す。
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