リニア中央新幹線のトンネル工事再開へ JR東海「肌落ち事故」再発防止策取りまとめ



JR東海は12月27日、リニア中央新幹線の工事現場のうち瀬戸トンネル(岐阜県中津川市)で発生した崩落事故について、再発防止策を取りまとめたと発表した。

リニア中央新幹線の瀬戸トンネル。斜坑口(瀬戸非常口)から約70mの地点で事故が発生した。【画像:JR東海】

事故は10月27日19時20分頃、斜坑口(完成後の瀬戸非常口)から約70mの地点で発生。作業員が発破作業後の残薬の有無を点検するため切羽に近づいた際、切羽の左肩付近で岩石が崩落する「肌落ち」が発生し、作業員の足が岩で埋まった。

さらにその後、最初に肌落ちした場所の近くで地山の一部が落下し、作業員が岩の下敷きになり死亡。救出に向かった別の作業員も重傷を負った。これを受けてJR東海は、瀬戸トンネルを含む山岳トンネル13工区の掘削工事を中断した。

JR東海によると、発破作業指揮者を兼務する掘削等作業主任者の指示がないまま作業員が立入禁止範囲に入ったことや、切羽の常時監視が行われていなかったことなどが事故の原因として考えられるという。

瀬戸トンネル斜坑の事故発生現場。切羽の肌落ちと地山の一部落下で2人が死傷した。【画像:JR東海】

再発防止策としては、切羽の立入禁止範囲を明確に定めて作業員に周知することや、やむを得ず作業員が立入禁止範囲に立ち入る場合は切羽の浮石を十分に落とし、残薬付近を除いて吹付けコンクリートを施工することなどを挙げた。

再発防止策などは岐阜県と沿線の市町に報告済み。JR東海は岐阜県が報告内容を確認したあとに工事を再開する予定としている。

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