JR九州「韓国に行けない高速船」で西九州新幹線「かもめ」海上輸送の見学ツアー



JR九州高速船は来年2022年1月7日、西九州新幹線「かもめ」に導入される車両の海上輸送を同社の高速船「QUEEN BEETLE(クイーンビートル)」から見学するツアー「QUEEN BEETLEで行く 『かもめ』ウォッチング IN 玄界灘」を実施する。

JR九州高速船の新型高速船「クイーンビートル」。【画像:オースタル】

1月7日の10時30分、博多港国際ターミナルに集合。11時30分に同ターミナルを出港し、車両運搬船の周辺を30分遊覧して「かもめ」の車両を見学する。14時30分、博多港国際ターミナルに戻る。

旅行代金はスタンダードクラスが大人1万5000円・子供9000円、ビジネスクラスが大人2万円・子供1万4000円。申込みは予約サイト「STORES」で受け付けている。

西九州新幹線は武雄温泉~長崎間が2022年秋頃に開業する予定。列車名は現行の在来線特急を引き継ぐ「かもめ」で、車両はJR東海が開発したN700Sの6両編成を使用する。今年2021年12月22日、山口県内にある日立製作所笠戸事業所で「かもめ」向けN700Sが報道公開された。

「かもめ」向けN700Sの輸送方法やスケジュールは発表されていない。笠戸事業所と西九州新幹線の車両基地(大村車両基地)のどちらも港湾施設に比較的近いところにあり、輸送ルートの大半は海上輸送になるとみられる。また、2022年1月7日の日中に玄界灘での車両運搬船の見学が行われることから、この日を含む前後数日の期間に海上輸送が行われることは確実だ。

西九州新幹線「かもめ」のデザイン。【画像:JR九州】

「クイーンビートル」は日韓航路向けの高速船。三つの船体を並べてつないだ形の三胴船(トリマラン)構造を採用したのが特徴で、定員は従来型の水中翼船「ビートル1~3世」の約2.5倍となる約500人だ。

オーストラリアの造船会社で建造され、昨年2020年10月に日本の博多港に到着した。しかし新型コロナウイルスの影響で日韓航路が運休中のため、「クイーンビートル」を同航路で使用するめどは立っていない。パナマ船籍のため国内航路でそのまま使うこともできないことから、JR九州高速船は船舶法に基づく沿岸輸送特許を受け、現在は国内遊覧運航で「クイーンビートル」を使用している。

JR九州高速船は2021年12月16日、「クイーンビートル」を日本船籍化すると発表。2022年3月中には日本船籍になる見込みだ。同社は日本船籍化により国内各港間の運航が可能になり、臨時運航などの事業可能性が広がるとしている。

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