西武鉄道「AI」「3D」踏切監視システムを開発 3カ所で導入試験



西武鉄道は11月18日、AIや3D画像解析を用いた踏切内異常検知システムを開発したと発表した。12月14日から3カ所の人道踏切で導入試験を行う。

西武池袋線を走る列車。【撮影:草町義和】

まず12月14日から、池袋線の池袋第9号踏切で「踏切滞留AI監視システム」の試験を実施。12月16日からは同線の所沢第3号踏切でも同システムの試験を行う。試験期間は両踏切とも来年2022年3月31日までの予定。

AI監視システムは沖電気工業・丸紅ネットワークソリューションズとの共同開発。カメラ映像をAIで処理して物体の形状を認識する。自動車などの物体の滞留を検知する「物体検知」と、人の移動・滞留を検知する「骨格検知」の複数のAIアルゴリズムにより、高精度で迅速に踏切の自動車や人などを検知する。

AI監視システムの動作イメージ。【画像:西武鉄道】

このほか、新宿線の井荻第2号踏切で今年2021年12月21日から2022年3月31日まで、「3D画像解析踏切監視システム」の導入試験が行われる予定だ。

3D監視システムは西武鉄道とコンピュータシステム研究所が共同で開発。左右二つのレンズを内蔵した3Dカメラで画像解析を行う。左右カメラの視差で人の目と同じように距離・高さ・ボリュームを認識し、高精度な検知が可能。体積の無い光や影を検知せず、自然環境に左右されない。

3D監視システムの動作イメージ。【画像:西武鉄道】

西武鉄道によると、人道踏切内に人が取り残された場合、従来は居合わせた人による非常ボタン操作が列車に異常を知らせる確実かつ唯一の方法だった。AI監視システムと3D監視システムは人の検知性能に優れているほか、従来の支障検知装置に比べ容易かつ安価に設置することでき、踏切の安全性向上が期待できるという。

西武鉄道は導入試験の結果を踏まえ、2022年度以降の本格導入を目指すとしている。

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