京急電鉄が昭和初期の電車「デハ236」展示 新本社ミュージアムあすオープン



京急ミュージアムのデハ236号。【撮影:草町義和】

京浜急行電鉄(京急電鉄)は1月20日、京急グループ本社(横浜市西区)の1階に整備した博物館施設「京急ミュージアム」を、報道陣に公開した。明日1月21日にオープンする。

館内では、かつて京急線を走っていたデハ230形電車1両(デハ236号)を展示。車体の脇にホームを設置して車内に入れるようになっており、京急電鉄の歴史を紹介する展示物が設置された。

デハ236号の脇に設置されたホーム。【撮影:草町義和】
デハ236号の車内。【撮影:草町義和】
車内に設けられた京急の歴史を紹介するコーナー。【撮影:草町義和】
中づり広告も往年のものを再現している。【撮影:草町義和】

車両の外には、ドアの開閉やパンタグラフの上昇・下降などを操作できるボタンが設置された。これらは本来は運転台に設置されているものだが、外に設置することで動作状況を見ながら操作できるようになっている。

デハ236号は1929年、現在の京急本線や京急逗子線を運営していた湘南電気鉄道のデ1形電車のデ6号として製造。のちの東京急行電鉄との合併や現在の京急電鉄への分離で形式と車両番号が変わり、デハ236号となった。窓が大きく眺望に優れているのが特徴だ。

廃車後は埼玉県川口市が譲り受けて市内で保存、展示されていたが、2003年以降は修繕が行われず、車体がさびに覆われるほど荒廃。一時は解体に向けて動いていたが、2016年に京急電鉄が引き取ることが決まった。

京急電鉄は本社を東京から横浜に移転するのを機に、同社の120周年記念事業の一環として新本社ビルにミュージアム施設を設けてデハ236号を保存、展示することに。約2年かけて車内外の修繕を行った。

車両の外に設置されたボタン(右下)を押すと目の前のドアが開閉する。【撮影:草町義和】
パンタグラフ(左上)を操作できるボタン(右下)もジオラマスペースを挟んで設置されている。【撮影:草町義和】

■「幻の延伸区間」が実現?

京急沿線の景色を再現した鉄道模型の大型ジオラマ。【撮影:草町義和】

鉄道模型のジオラマも設置。東京から三浦半島まで京急沿線の景色を再現していて、運転することもできる。京急久里浜線の終点・三崎口駅を再現した部分は、本来は行き止まりであるはずの終端部の先も線路が続いており、計画が凍結された油壺方面への延伸が実現したかのように見えるのが面白い。

このほか、実写映像を使った新1000形電車の運転シミュレーターや、京急バスを紹介するコーナーなども設けられた。

京急線は新幹線と同じ1435mmの標準軌を採用しているが、ミュージアム内には京急が標準軌であることを示す解説が設けられたほか、吹き抜けの天井に設置された木版ユニットの幅も1435mmにするなど、標準軌に対するこだわりが感じれた。

京急ミュージアムの開館時間は10~17時で、休館日は原則として火曜日(オープン初日の1月21日は開館)。入館は無料だが、運転シミュレーションなど一部の施設は有料になる。また、当面のあいだは事前に応募(1月5日締切)して当選した人しか入館できない。

ジオラマを走る列車は実際に運転することができる。【撮影:草町義和】
ジオラマの三崎口駅は計画が凍結された油壺方面へも線路が続いているように見える。【撮影:草町義和】
新1000形を模した運転台と実写映像を使った運転シミュレーターも設置。【撮影:草町義和】
京急バスのコーナー。【撮影:草町義和】
京急の軌間が1435mmの標準軌であることを示した解説。【撮影:草町義和】
吹き抜けの天井に設置された木板のユニット。それぞれのユニットの幅が1435mmになっている。 【撮影:草町義和】