『戦時下の地下鉄』幻のホーム俗説を検証 「地下鉄の父vs強盗慶太」や空襲からの復旧も



青弓社は2月26日、『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(枝久保達也)を発売した。A5判216ページで発売額は2000円(税別)。

枝久保達也さんの単行本『戦時下の地下鉄』と東京メトロ銀座線・銀座駅のホーム。【撮影:草町義和】

戦前の東京の地下鉄は、浅草~新橋間の東京地下鉄道と渋谷~新橋間の東京高速鉄道で構成されていたが、1941年に両社が帝都高速度交通営団(営団地下鉄、現在の東京地下鉄=東京メトロ)に統合。浅草~新橋~渋谷間は現在の銀座線となり、のちの地下鉄ネットワークの基礎となった。

本書では、東京地下鉄道や東京高速鉄道が作成した鉄道の計画の申請書類など一次史料に基づき、戦前から戦時下にかけての東京の地下鉄の歴史を描き出しているのが大きな特徴だ。

たとえば、銀座線の新橋駅には使われていない「幻のホーム」があるという有名な話があるが、「幻のホーム」が生まれた理由を一次史料によって検証し、従来言われていた「俗説」を否定。俗説が生まれた背景も綿密な史料調査によって解きほぐしている。

ほかにも、「地下鉄の父」こと早川徳次率いる東京地下鉄道と「強盗慶太」こと五島慶太率いる東京高速鉄道の対立、そして両社の対立が遠因になって成立した営団地下鉄の戦時下の輸送状況、1945年の銀座空襲により損壊した銀座駅の復旧の過程などを描き出している。

著者の枝久保さんは、民営化されたばかりの頃の東京メトロに入社して広報やマーケティング・リサーチ業務に携わり、2017年に退社。現在は都市鉄道研究家・鉄道ライターとして活動している。ニュースサイト『鉄道プレスネット』や『ダイヤモンド・オンライン』、鉄道誌『鉄道ジャーナル』や『鉄道ファン』で鉄道に関する記事を書いている。