南海本線・高石市内の高架化が来年5月完了へ 高師浜線の運休で全踏切「先行解消」も



南海電気鉄道(南海電鉄)は12月11日、大阪府高石市内で実施している南海本線・高師浜線の連続立体交差事業(連立事業)について、来年2021年5月に南海本線の高架化を完了させ、同時に高師浜線を運休して代行バスを運転すると発表した。踏切の先行解消と工事期間の短縮を図る。

高石市内の南海本線・高師浜線の連立事業区間(赤)。2021年5月に南海本線の高架化が完了し、高師浜線は運休して高架化工事を進める。【画像:国土地理院地図/加工:鉄道プレスネット編集部】

この連立事業は、南海本線・浜寺公園~北助松間と高師浜線・羽衣~伽羅橋間のうち、南海本線の約3.1kmと高師浜線の約1.0kmの線路を高架化するもの。これにより13カ所の踏切が解消され、羽衣駅と高石駅が高架化される。1996年の都市計画決定、1997年の事業認可を経て2005年から鉄道工事に着手した。南海本線は2016年5月に下り線の高架化が完了。来年2021年5月には上り線の高架化も完了する予定だ。

残る高師浜線については、南海本線の高架化完了にあわせて羽衣~高師浜間の全線1.5kmを運休し、高架化工事が完了する予定の2024年春までバスによる代行輸送を実施する。代行バスの運転ルートや運転本数などは、2021年4月頃に案内される予定。高師浜駅の代行バス乗り場は、大阪府立臨海スポーツセンター敷地内に設置する。

南海電鉄や高石市によると、高師浜線の高架化は当初、現在の線路の脇に仮設の線路を敷いて列車を走らせながら、現在の線路の敷地に高架橋を建設する仮線工法を採用する計画だった。2018年、事業主体の大阪府と高石市、南海電鉄の3者が協議し、踏切の早期解消と工事期間の短縮を図るため、路線自体を運休して工事を進める計画に変更することで合意したという。

路線の運休によって高架化を行う場合、運休が始まった時点で踏切が事実上解消され、踏切解消までの期間が大幅に短縮される。また、仮線の用地を買収する必要がなくなるほか、列車を走らせながら工事を進める必要もなくなるため、工費の節減や工事期間の短縮を図れるというメリットもある。高石市によると、仮線工法で工事を進めた場合は工期が5年間になるところ、列車を運休して工事を進める場合は工期が3年間になり、2年短縮できるという。

南海本線・高師浜線の連立事業は、1997年の事業認可時点では、2006年に南海本線の下り線を高架化し、2007年に上り線の高架化を完了。高師浜線は2008年の高架化完了を予定していた。用地買収の難航などにより工事は大幅に遅れている。