台風で廃車の北陸新幹線「W7系」代替の改良車を新造 JR西日本、来年度下期に投入



JR西日本は10月16日、北陸新幹線で運用しているW7系電車について、昨年2019年の台風19号の影響で廃車になった車両の代替車を新造すると発表した。

北陸新幹線を走るJR西日本のW7系。【撮影:草町義和】

新造するのは24両(12両編成2本)。現在のW7系をベースに改良し、台車の異常を検知する装置や、車両への着雪を抑える対策を備えた機能を搭載する。投資額は約80億円で、来年度2021年度下期に投入する予定だ。

北陸新幹線は、高崎~上越妙高~金沢間を結ぶ新幹線。上越妙高駅を境に高崎寄りをJR東日本が運営し、金沢寄りはJR西日本が運営している。車両はJR東日本のE7系電車とJR西日本のW7系が使われているが、E7系とW7系は共通仕様で、形式名以外の違いはない。

2019年10月の台風19号で千曲川が決壊し、車両基地の長野新幹線車両センターが浸水。このとき同センターに留置されていたE7系96両(12両編成8本)とW7系24両(12両編成2本)も浸水して使用不能となり、JR東日本とJR西日本は浸水した全編成の廃車を決めた。

北陸新幹線の長野新幹線車両センター。【丸岡ジョー/写真AC】

JR東日本は今年2020年9月に発表した設備投資計画で、代替となるE7系を2022年度末まで導入する計画を盛り込んでいる。現在は上越新幹線用として新造したE7系を北陸新幹線に回して運用する格好となっているが、これにより上越新幹線の車両が不足。本年度2020年度末には引退の見込みだった上越新幹線の2階建て電車E4系は、来年2021年秋頃まで運行される見込みだ。

E7系・W7系の浸水被害の影響で引退時期が延長されたE4系。【画像:HK-SAN/写真AC】