京成電鉄の青砥駅で脱線事故 京成リースの北総車、台車に亀裂



京成電鉄の青砥駅(東京都葛飾区)構内で6月12日10時15分頃、羽田空港第1・第2ターミナル行きの列車(8両編成)が脱線した。

北総鉄道の7300形。写真は京成電鉄の青砥駅で脱線した第7818編成と同型の第7828編成。【撮影:草町義和】

この列車は京成高砂駅を発車して次の青砥駅に進入した際、7両目の後方台車の車軸が約20cm右側に脱線。台車には複数の亀裂が入っていた。

この影響で京成線は、全線で一時運転を見合わせた。その後押上線を除き再開したが、同日夜の21時以降は、復旧作業のため京成本線・千住大橋~市川真間間と押上線・八広~青砥間、成田スカイアクセス線(北総線除く)・京成高砂~新鎌ケ谷間で運転を見合わせ。翌日6月13日の7時35分に全線再開した。

脱線した編成は、京成電鉄との相互直通運転を行っている北総鉄道7300形電車の第7818編成。1995年、京成電鉄3700形電車の第3748編成として製造され、2015年には北総鉄道に貸し出されて現在の形式名と車両番号に変更された。日本車輌製造(日本車両)製だが、台車は住友金属工業(のちの新日鉄住金、現在の日本製鉄)製のものが使われている。

脱線の際に台車に亀裂が入ったのか、あるいはもともと亀裂があったのかなど、詳細は不明。運輸安全委員会が原因を調べている。

■4年前の脱線事故でも台車に亀裂

台車に亀裂があったため脱線したとみられる事故は、2016年5月に発生した東武鉄道の東上線の脱線事故などがある。東上線の脱線事故では、10両編成の列車の5両目後方台車が脱線し、事故発生後の点検で台車の亀裂が確認された。

運輸安全委員会が2018年1月に公表した東上線脱線事故の報告書によると、台車右側の側ばりに下面から側面上部に達する亀裂があったため、輪重のバランスが崩れて脱線したとみられる。亀裂の原因としては、側ばり内部の補強板溶接部に溶接不良があった可能性が考えられるものの、特定はされていない。

脱線した車両は1989年製で、台車は住友金属工業製。定期検査(鉄道車両の法定検査)は2009年に全般検査、2013年に重要部検査を受けていたが、亀裂が入った部分は検査対象となっていなかった。このため亀裂が発見されず、時間の経過で脱線の発生に影響するほどの大きさに拡大した可能性があるという。