JR九州の輸送密度2000人未満で赤字ワースト1は日豊本線、大分・宮崎の県境部



JR九州の青柳俊彦社長は5月27日に定例会見を開き、同社が運営している鉄道路線のうち、1日1kmの平均通過人員(旅客輸送密度)が2000人未満の線区の収支状況(2018年度)を公表した。いずれの線区も赤字で、JR九州の厳しい経営状況が浮き彫りになった。

大分・宮崎の県境に近い宗太郎駅。【画像:うげい/PIXTA】

輸送密度が2000人未満の線区は14線20区間。ただし災害により長期不通となった3線3区間は収支を算出していない。

営業収益が最も大きい線区は久大本線・日田~由布院間の7億800万円で、これに日豊本線・都城~国分間の4億4200万円、日豊本線・佐伯~延岡間の3億9600万円が続く。営業収益(収入)が最も小さいのは唐津線・唐津~西唐津間の3300万円だった。

一方、営業費(経費)が最も大きかったのは日豊本線・佐伯~延岡間で10億7000万円。これに久大本線・日田~由布院間の9億6200万円、肥薩線・八代~人吉間の8億4400万円が続く。

この結果、営業損益で赤字額が最も大きかったのは、日豊本線・佐伯~延岡間の6億7400万円だった。これに肥薩線・八代~人吉間の5億7300万円、日南線・田吉~油津間の4億8500万円が続いた。赤字額が最も小さかったのは、宮崎空港線・田吉~宮崎空港間の600万円だった。

日豊本線は福岡県北九州市から九州東部の大分県、宮崎県を経て鹿児島県に至る幹線鉄道だが、佐伯~延岡間は大分県と宮崎県の県境部で沿線人口が少なく、県境をまたいで走る普通列車は1日に上下計3本しか走っていない。ほかに都市間輸送を担う特急列車が多数運行されているが、それでも旅客輸送密度(2018年度)は889人。JR九州が発足した1987年度(3428人)から7割以上も減少している。

青柳社長は会見で「今回の収支の開示で、各線区の厳しい収支状況を自治体や沿線住民と共有できると考えている。再び地域の交通手段として鉄道を選んでもらい、持続可能なものにしていきたい。そのためにも、自治体の皆様と一緒に線区を活用していくための検討会などを開きたい」と話した。

輸送密度が2000人未満の線区の収支状況。【画像:JR九州】